横溝千歳と交際していた春田望は、ある日、横溝が自分ではない別の女性と結婚することを知る。結婚式の当日、春田は式に乗り込んでその場から走り去る。式場から逃走する道中で、カステラを乗せたバイクとの衝突事故に遭ってしまった春田。病室で目を覚ますと、そこには横溝の姿をした”カステラ”を名乗る男がいた……。
監督は、これまで、監督・主演を務めた中編作品『みんな蒸してやる』(2015)が第7回下北沢映画祭グランプリを受賞したほか、第37回ぴあフィルムフェスティバルではコンペティション部門に入選するなど様々な国内映画祭で注目を集めてきた大河原恵。最新作であり初長編作品となる本作は、2025年3月に開催された第20回大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門でジャパンプレミアを迎え、その突飛な展開とは裏腹に多くの観客の共感を呼んだ。さらに、JAPAN CUTS AWARDを受賞し、北米最大の日本映画祭JAPAN CUTS 2025でも上映を行った。
忘れることできない、儚い恋の終わり。と見せかけて、カステラと流行りの職業に就いてみたり、横溝へ変わらぬ愛を伝えるビデオレターを作ってみたり、個性派揃いの文房具屋でバイトを始めてみたり……失恋をきっかけに意の向くままに進み続ける春田。最高純度の恋心は、誰もの想像を遥か高く飛び越えて、予測不能な出来事を巻き起こしながらスクリーンを駆け抜けていく。 |