リム・カーワイ監督特集
シネマ・ドリフターの無国籍四部作

▶放浪する映画作家、リム・カーワイ。人は彼をCinema Drifterと呼ぶ。北京/香港/大阪/ソウルetc ……国境を軽々と超え生み出された《無国籍四部作》。▶処女長編『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』(2009年)はモノクロパートとカラーパートの二部に分かれており、一部で死んだ男が二部で再び何事もなかったかのように現れる。村の不可思議な噂話とリンクしながら物語は復讐劇を思わせるような不穏なざわめきを帯びていくが、やがて観客は登場人物たちそれぞれが歩む人生の息遣いに巻き込まれていく。繰り返し見るたびに新しい発見が見出されるのも本作の魅力の一つだろう。▶二作目は香港のムイオ島を舞台にした『マジック&ロス』(2010年)。女優兼監督、杉野希妃とタッグを組み、『息もできない』のヤン・イクチュン、キム・コッピコンビを共演に迎えた本作は、魅惑的な空間を舞台に、怪奇譚の様相を呈しながら、一方で人と人の交わりの期待と困惑を見事に描いてみせる。また、杉野希妃とキム・コッピの二人の女優の魅力を最大限に引き出しており、二人の官能的な美しさは必見だ。▶三作目『新世界の夜明け』(2011年)は、北京と大阪の新世界を舞台に、中国と日本のリアルな”今“を、大阪人情ものの味わいの中で、鮮明に描き出す。個性豊かな俳優陣のかもし出す暖かさが印象的な愛すべきクリスマス映画だが、監督の時代を見る目の鋭さも是非味わっていただきたい。▶四作目『恋するミナミ』(2013年)は『新世界の夜明け』に続き、東アジアと日本の関係を焦点に描いた、大阪ミナミを舞台に国籍も言葉も異なる男女の恋を描いたラブストーリー。全作とも大胆な「世界」の切り取り方と緻密な表現力は映画的興奮に満ちている。ニューヨークでの開催も決まった本特集を大阪でも体感せよ!

アフター・オール・ディーズ・イヤーズ

98分/2009年/カラー/HD
【マレーシア・中国・日本】監督・脚本・編集:リム・カーワイ
出演:大塚匡将、ゴウジー(狗子)、ヘー・ウェンチャオ(何文超)
撮影:メイキン・ファン・ビン・ファイ
美術:Amanda Weiss 音楽:Albert Yu 録音:山下彩
製作・配給:Cinema Drifters

10年ぶりに故郷に帰って来たア・ジェ。だが家族ですら彼のことを忘れており、挙句に無実の罪を着せられ処刑されてしまう。しかし、そのア・ジェが再び現れる。彼は何者か?目的は何か?過去と現在が複雑に交錯し物語はやがて不穏な様相を帯びていく。

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マジック&ロス

81分/2010年/カラー/HD
【日・韓・マレーシア・香港・中・仏・米】
監督・構成・編集:リム・カーワイ
出演:杉野希妃、キム・コッピ、ヤン・イクチュン
プロデューサー:杉野希妃 原案:Judith Pernin
撮影:メイキン・ファン・ビン・ファイ 音楽:Jo keita
録音:山下彩 製作・配給:和エンタテインメント

香港のリゾート地、ムイオ島にやってきた日本人と韓国人の2人の女。「満員」の張り紙にも関わらず、誰もいないように見えるホテルで彼女たちは知り合い、行動をともにすることになる。神秘的な島の風景に触れるうち2人はあの世とこの世の狭間を彷徨い始める。

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新世界の夜明け

93分/2011年/カラー/HD
【日本・中国】監督・脚本・編集:リム・カーワイ
出演:史可(シー・カー)、小川尊、宮脇ヤン、友長えり、友長光明、安藤匡史、鈴田望、宮本果実、濱辺緩菜、Jun、ミヨシフミタカ
プロデューサー:友長勇介 撮影:加藤哲宏 美術:塩川節子
音楽:Albert Yu 録音:宮井昇
製作・配給:Cinema Drifters

北京の若い女性、ココは日本でのクリスマスに憧れ、大阪にやって来る。だが辿りついたのはメトロポリタンとはかけ離れた大阪の新世界だった。言葉の通じない異国の地でてんやわんやの騒動に巻き込まれていく。中国のお嬢様が「新世界」の地で見たものは!?

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Fly Me to Minami~恋するミナミ

103分/2013年/カラー/HD
【日本・シンガポール】監督・脚本・編集:リム・カーワイ
出演:シェリーン・ウォン、小橋賢児、ペク・ソルア、竹財輝之助、
藤真美穂、石村友見
企画・製作総指揮:加藤順彦
撮影:加藤哲宏 美術:塩川節子 音楽:イケガミキヨシ
録音:山下彩 製作・配給:Duckbill Entertainment
第8回大阪アジアン映画祭、2016年プラハアジアン映画祭他

運命の悪戯で大阪・ミナミで集結し、すれ違い、そして交差する。香港でファッション誌の編集者として働くセリーンは、取材で年末にミナミを訪れるが、カメラマンが同行できなくなり、現地通訳ナオミの弟で大学生タツヤを雇うことに。一方、キャビンアテンダントをしながら洋服を仕入れ、ソウルでセレクトショップを経営するソルアには、シンスケという日本人の恋人がいたが…。ミナミを舞台に国籍も言葉も異なる男女を描いたラブストーリー。

12/17(土)、18(日)、23(金)19:20『恋するミナミ』※12/19(月)〜22(木)は劇場改装工事のため休館

12/24(土)〜30(金)12:30『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』
           14:30『マジック&ロス』
           16:15『新世界の夜明け』

 

<鑑賞料金>
一般1,200円、シニア1,100円、学生・会員1,000円