不壊の白珠(ふえのしらたま) ピアノ演奏付き上映
◆菊池寛の通俗小説を映画化したメロドラマ。会社員の青年(高田)が、彼に恋する内気なタイピスト(八雲)ではなく、快活で無邪気なその妹(及川)と結婚してしまう。姉は青年を憎むが、遊び好きな妹との結婚も長続きせず…。清水の都会的でスマートな作家として本領発揮。水平方向の移動撮影や180度の切り返しなど、大胆な空間造形!2005年にチェコの工房で製作当時のフィルムの染色を再現した復元版(英語字幕付)。
没後60年4月から6月にかけて上映した映画館では最大規模の清水宏監督の特集上映「没後60年映画監督清水宏」が大好評。自然の中のロケーションを好み、作為をきらった即興的な演出、セリフ、演技、演出を極力排除する実写的精神に大興奮! モダンでスマートな都会の若者たちを描く一方、粋な流れ者の女たちを共感をもって、その流転する人生のはかなさを見守るように描く、稀有なエスプリをまとった名作の数々!
まさに戦前に花開いた「早すぎたヌーヴェルバーグ」!!
『不壊の白珠』『大學の若旦那』『金色夜叉』『歌女おぼえ書』『人情馬鹿』など前回未上映の貴重な国立映画アーカイブ所蔵作品から、『有りがたうさん』『花形選手』『按摩と女』『蜂の巣の子供たち』『小原庄助さん』など何度見ても素晴らしい清水の代表作15作品を一挙上映! まさに決定版清水宏特集上映!!

1903年3月28日、静岡県天竜川沿いの山村に生まれ、小学校は東京、旧制中学は浜松で学び、北海道大学農学部に入学するが1年で中退。22年に松竹蒲田撮影所に入社。翌年、小津安二郎が松竹に入社し、小津とは終生の友となる。24年、21歳という若さで『峠の彼方』で監督第1作。京都の松竹下加茂撮影所に移り時代劇も手掛ける。当時、下加茂に入社した田中絹代と恋に落ち、結婚しようとするが、城戸四郎撮影所長から「試験結婚」を勧められる、わずか2年で破局。25年に蒲田に復帰、若きメロドラマ作者として将来を嘱望された。メロドラマのほか、流行した新聞小説の映画化など多様な作品を量産して精力的に働いた。松竹一の早撮りの多作家となり、デビュー10年目にして100作品近くの映画を監督。30年代、親友の小津と共に、ソフィスティケーションされた松竹蒲田のモダニズムを担った。とりわけ『大學の若旦那』(33年)に始まる「若旦那シリーズ」など松竹現代劇の娯楽映画を代表する監督となる。 都会の若者たちの商業映画を撮る一方で、早くから伊豆など自然のロケーションを好んで、独自のユーモアを含んだ写実的な映画を作り始める。本格的なトーキー時代となった36年、『有りがたうさん』を発表。全編ロケーションで撮影する手法は、「実写的精神」と呼ばれ、絶賛を浴びる。作為のない、あるがままなものを好んだため、子どもや新人、大部屋俳優、素人を使い、極力セットを排して実景の中で演出を行う。この手法で、数々の傑作を手掛け、日本映画の巨匠として活躍した。しかし、一方であまりにも強引な性格でスタッフの反発も招く。戦後は松竹を辞め、戦災孤児たちを引き取り育てながら、48年には「蜂の巣映画」を立ち上げ、戦災孤児たちを主人公に『蜂の巣の子供たち』(48年)を製作。戦後の独立プロの嚆矢と高い評価を受ける。その後、溝口健二に誘われ、大映と専属契約を結ぶ。晩年は心臓病の養生をかねて、65年に京都市の北嵯峨に家を構えるが、66年6月23日、心臓麻痺のために急逝。遺作は大映で撮った『母のおもかげ』(59年)。大徳寺大光院の墓に埋葬され、分骨が故郷の天竜川に流された。
◆菊池寛の通俗小説を映画化したメロドラマ。会社員の青年(高田)が、彼に恋する内気なタイピスト(八雲)ではなく、快活で無邪気なその妹(及川)と結婚してしまう。姉は青年を憎むが、遊び好きな妹との結婚も長続きせず…。清水の都会的でスマートな作家として本領発揮。水平方向の移動撮影や180度の切り返しなど、大胆な空間造形!2005年にチェコの工房で製作当時のフィルムの染色を再現した復元版(英語字幕付)。
◆清水戦前のマスターピースとなった「大學の若旦那」シリーズ第1作で、唯一現存している貴重な一篇。原作の源尊彦は清水のペン・ネーム。老舗問屋の跡取りで大学ラグビー部の主将(藤井)は呑気な若旦那。恋にスポーツにと、モダンかつ人情味あふれる清水の初期代表作。トーキー移行期に数多く製作された「サウンド版」の1本で、当時人気の『ロイドの人気者』などアメリカ喜劇映画の影響を日本の下町風にアレンジした名編。
◆川端康成原作をもとに、「有りがたうさん」と呼ばれるバス運転手を中心として、伊豆の山道を往復する乗合バスの乗客たちの姿を点描したユーモア溢れる傑作。町に身売りされようとする若い娘の話を基軸としながらも、酌婦や旅役者、朝鮮人労働者といった行き交う人々を、ドラマ性を排除して移りゆく風景の中にとらえていったロードムービー。上原謙が清水作品に初主演。バスが大好き、何度見ても楽しい清水映画代表作。
提供:国立映画アーカイブ
◆1910年代から何度も映画化されてきた尾崎紅葉の人気小説の初めてのトーキー作品。許嫁の鴫沢宮(しぎさわ みや=川崎)が、恋人の間貫一(はざま かんいち=夏川)を捨てて資産家に嫁いだために、学生だった間は冷酷な高利貸となって彼女に復讐しようとする…。「来年の今月今夜のこの月を僕の涙で曇らせてみせる」の名セリフも、モダンな清水版ではこうなる!あまりに省略、あまりにスピーディ。人物の設定も近代的に驚きの改変!!
◆親友の小津安二郎や山中貞雄が出征していた37年、清水は軍事教練の行軍演習に励む学生たちと彼らを取り巻く人々の姿を描く。戦時体制にあって、何度も反復される軍歌の唱和と行進は、農民や女学生、後をついていく子どもたちと交錯するたび、その主題は横滑りし、転倒されていく…。大学陸上部の花形選手に佐野、ライバルに笠智衆が扮し、ロケの楽しさ溢れる清水スタイルの典型ともいうべき作品で、何度でも見たい清水の傑作。
◆旅と温泉をことさら愛した清水映画の真骨頂、ここにあり!目が見える人を追い抜くのを楽しむ按摩(徳大寺と日守)が、新緑の山あいの温泉場に泊まる。同じ宿に泊まった東京から来た女(高峰)に、按摩(日守)がほのかな恋心を抱くさまを描く清水のオリジナル・シナリオの名編。社会の周縁に位置する者たちの淡い出会いと別れを好んで取り上げる清水映画の中でも何度も見てみたい極めつけの1本。洒脱で軽快でロマンチック!
◆清水本人の原案で、舞台の大女優・初代水谷八重子を5年ぶりに映画に迎えて撮ったメロドラマ。新派的題材をダイナミックに描いた異色の傑作。実話に基づき、夫を失い、借金だらけの店を遺された元旅役者の歌女(水谷)が、義理の息子・庄太郎(上原)の学業継続のため、献身的に商いを続ける。冒頭の山道シーンや屋外から室内まで一続きに捉えたシーンなど移動撮影が絶妙。
◆清水が当時の植民地・台湾で満映のスター・李香蘭を主演に撮った国策映画。38年に台湾で実際に起きた原住民族の少女の落水事故を基に、台湾・霧社でロケを敢行。渡辺はま子歌唱によるヒット歌謡曲を、本作では李香蘭が歌っている。岩崎昶の企画で、主要登場人物はすべて日本人俳優が演じ、現地のタイヤル族住民がエキストラとして出演。現存プリントは途中の1巻が欠落。留守中、松竹では横暴だとする助監督らの訴えで、帰国した清水は大船を追放の憂き目に…。
◆『サヨンの鐘』の後、大船を追放され、松竹京都所属となった清水は、45年に松竹を退社。そんな清水が戦災孤児たちを引き取り熱海の山中で育てながら、48年に蜂の巣映画を立ち上げ自主製作した戦後第1作。清水が共に暮らしていた戦災孤児たちを本人役で出演させ、下関から大阪の「みかえりの塔」まで、復員兵と8人の浮浪児たちが旅するロードムービー。公開後、社会的に大きな反響を呼び、その後2本の続篇が製作された。戦後の独立プロの嚆矢として絶賛!
◆民謡「会津磐梯山」の主人公「小原庄助さん」をモデルに清水が翻案し、盟友であり批評家から脚本家に転進した岸松雄が脚本・製作に参加。オール・ロケーションによる牧歌的風景の中にユーモラスに描く。農地改革で没落していく人のいい地主を、時代劇スター大河内傳次郎が、風流に生きる現代版の小原庄助像を好演。滅ぶことの豊かさなど、ユーモアとペーソスに満ちた傑作。前回、藤井仁子さんのトークが素晴らしく、見直すべき名編として再度上映!!
◆『蜂の巣の子供たち』の3年ぶりの続篇。京都から伊豆に移り、山麓の農場で定着し、自給自足の共同生活を送っていた清水と子どもたちの暮らしぶりを映画化。農場で暮らす子供たちの日常を素朴なドキュメンタリータッチで描く。前作で社会的な注目を集めたことから、雑誌記者や女学生が押しかけたり、報道や取材によってかき乱された実際の彼らの生活が、リアルに描写されている。
◆“ブギの女王”笠置シヅ子と清水が唯一コンビを組んだ1本。紙芝居屋の阿彌子(笠置)は訳あって離れて暮らす息子・明の温泉療養に付き添うことになり、束の間の幸せな時間を過ごすが、やがて別れの時がきて…。紙芝居を読みながら歌って踊る笠置の姿は天下一品。垣間見える哀愁に女優としての才能が光る。子供たちの描写、温泉地の風情が光る名匠・清水宏の母もの映画。紙芝居をやめて按摩になった日守新一も楽しい。
◆小児マヒの子どもたちのために学園を設立した山本三郎の手記を、『みかへりの塔』や「蜂の巣」三部作の清水宏が映画化。伊豆長岡でロケが行われ、学校のセットも現地に建てられた。入園前に酷薄な仕打ちを受けてきた子どもたちへの救済として、同名主題歌が学園内で繰り返し歌われる。実話に基づきつつ、巧みな演出により子供たちを爽やかに自然に描いた佳作。先生役の香川京子、当時11歳の河原崎健三も好演。
◆溝口健二に誘われ、大映と専属契約を結んだ清水の最初の作品。川口松太郎原作の大正時代の人情話を、オートバイのセールスマン(菅原)とキャバレーの歌手(角)という戦後の設定にアレンジした喜劇。美人女優として活躍していた角梨枝子が、浪花千栄子や進藤英太郎といった芸達者な脇役陣に支えられて、溌剌とした魅力を発揮している。
◆浅草文化を愛した永井荷風の同名小説を映画化。浅草六区の踊子・花枝(淡島千景)と楽士の恋人・山野(船越英二)の元に、花枝の妹・千代美(京マチ子)が転がり込んでくる。奔放な千代美は山野、そして振付師の田村(田中春男)とも関係を持ち…。前年に松竹専属からフリーとなった淡島千景を大映に迎え、京マチ子、船越英二との洗練されたアンサンブルを通して、人生の浮沈が描かれる。
『不壊の白珠』
10/25(日)11:50
10/31(土)13:10
11/3(火・祝)12:00
ピアノ演奏=鳥飼りょうさん(楽士)
10/24(土)11:35『大學の若旦那』上映後
ゲスト:マリア・ホセ・ゴンザレス・ムニョスさん(関西学院大学非常勤講師/清水宏研究)
一般1600円、シニア1300円、学生・会員1200円、ハンディキャップ1000円
一般3回券3900円、シニア3回券3600円、会員3回券3300円
ただし、国立映画アーカイブNFAJ作品は、上記料金に加えてさらに+500円いだたきます。
※3回券は複数人数で使用不可
※トークショー付きの回、ピアノ演奏付きの回、NFAJ作品は招待券・回数券使用不可
【お断り】国立映画アーカイブNFAJ作品は、国の文化財産という貴重な作品です。そのため、上映回数が限られるうえ、版権使用料が配給会社に加え、国立映画アーカイブにも発生し、そのため通常の代金の2倍近くになります。誠に恐縮ですが、もう500円、ご負担いただきますようお願いいたします。3回券も同様です。
※ご鑑賞の7日前から窓口とオンラインでチケットのご購入が可能です。ご鑑賞当日はオンライン予約の方は専用窓口で発券、当日券の方は窓口で指定席をお選びの上、開始時間の10〜15分前からご入場いただきます。
<全席指定席>となります。満席の際はご入場出来ませんので、ご了承下さい。
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