ガキ帝国
井筒和幸パワー炸裂!
低予算+若手監督路線に舵切ったATGの新社長に、井筒和幸は宿願の企画を出した。低予算で無数の少年たちが登場する映画は不可能と僕は反対したが、井筒は猪突猛進、初の一般映画を撮った。八十年当時の大阪と、紳助・竜介始め本作でデビューした俳優たちの若き日が楽しめる。みんな若かった!
監督は誰でもできる。脚本はそうはいかない。誰でも書けない。
日本語が書ければ脚本を書けると考えている監督が多いが、アホウである。
しかし映画は監督で語られる。監督が一人で作ったように語る。特集上映も監督で組まれる。
今回のように脚本家で組まれるのは稀だ。奇跡に近い。先鞭をつけたのが新井晴彦だ。
九年前、当館で古希記念の上映会が開かれた。ヤツも到頭七十か、ザマーミロと思ってたら、
あっと言う間にこっちの番になった。確か最近、身体の方々がコキコキ痛い。
新井は専門店だが、僕は百貨店だ。脚本のジャンルは多岐にわたる。
仕事ならなんでも引き受けたように見えるが、決してそうではない。器用貧乏なのだ。ただし貧乏ではない。
期間中、何度かトークで登壇するが、誰も話したがらない映画界のとっておきの秘話や
裏話を披露する予定である。赤ん坊が泣いていようが飯が炊けていようが放り出して駆けつけよ。
聞き逃す奴は、アホウである。
西岡琢也

1956年京都生まれ。大阪市職員の両親の映画・園芸・小説好きに感化され、高校からは白井佳夫編集長のキネマ旬報に惑溺、東映実録路線、ロマンポルノとピンク映画、アメリカン・ニューシネマを追いかける。大学に入り井筒和幸監督と知り合い、酒の相手とピンク映画の助監督を務める。続けて評価を得るが、「二十代で終わった脚本家」と陰口を叩かれる。バブル期以降書いても書いても流れる映画を離れテレビに転戦、犯人探しの2Hサスペンスや刑事ドラマをうんざりするくらい書き倒す。05年から大阪芸大に奉職、学生に小言を言って禄を食む。実は「半身脚本家」。
井筒和幸パワー炸裂!
低予算+若手監督路線に舵切ったATGの新社長に、井筒和幸は宿願の企画を出した。低予算で無数の少年たちが登場する映画は不可能と僕は反対したが、井筒は猪突猛進、初の一般映画を撮った。八十年当時の大阪と、紳助・竜介始め本作でデビューした俳優たちの若き日が楽しめる。みんな若かった!
籠城犯の当たり前の青春
三菱銀行北畠支店に立てこもった梅川昭美が主人公のモデルだが、あえて銀行内の犯行を描かず、我々とさして変わらぬ男の青春をスケッチした。一歩間違えたら、自分が梅川や鳴海清になったかも知れないとの気持ちが強い。宇崎竜童と関根恵子が好演。関根が輝くばかりに美しい。
武田組の真相
一時ロマンポルノの秀作を連発していた武田一成と初めて組んで、その秘密を知った。一成さんは監督にしては珍しく、脚本を一字一句違わず撮る。そうか、秀作は脚本の田中陽造のおかげだったのか!戦後日活再開時に採用された助監督一期生。この後武田組をもう一本書いたが、最後は喧嘩別れした。
のらりくらり相米慎二
前作『セーラー服と機関銃』の大ヒットで、相米慎二が好き勝手撮っている。三時間半を超えたラッシュを、字幕を入れて二時間弱にカットして公開した。子供だけでなく大人も参加した〈運動会映画〉。相米は筋も台詞も興味なく、ただただアクションを撮る。脚本家の敵!こんな悪いヤツはいない。
火の玉小僧・池田敏春
九人の監督集団ディレクターズ・カンパニーの一般映画第一作。にっかつを退社して故郷山形に帰ろうとしていた池田敏春を根岸吉太郎が新会社へ誘い、本作もプロデュース。笠原和夫に断られ、僕に回って来た仕事。相米に続き過酷な脚本作りを体験した。この後、どんな仕事も平気にこなせるようになった。
運転出来ない中原俊が撮った
原作漫画の車高を低くしたシャコタンを乗り回す少年たちの日常スケッチを、どう映画にするか悩んだ。中原俊も僕も運転免許証がないのに、よく車好きの話を作ったもんだ。愉快なネタ満載の愛すべき漫画だったのでシリーズ化も勝手に考えていたが、あえなく一本で終了した。中原は数年後、『櫻の園』でブレイクした。
ナンノ映画も書きました!
『スケバン刑事(デカ)』でブレイクした南野陽子主演映画。メンズノンノのモデル阿部寛の映画初出演。原作は人気漫画で、原作者から再三再四、脚本への注文がファックス(!)で届いた。大泉の東映のスタジオで、主人公の行儀見習い先の伊集院家のセットを見た時、撮影所の底力を感じた。
ロマンポルノ最終作の栄光
ロマンポルノは九本書いた。その最後の一本。ロマンポルノ公開最終週に封切られた。きっと記録に残るに違いないと、オファーを受けて即引き受けた。後藤大輔のデビュー作。気持ちが入った演出をしている。もうスター不在のロマンポルノだったが、無名の女優たちが好演。記憶にも残る作品になったか。
褒められなかったホラー
長年有能な助監督だった平山秀幸のデビュー作。十六ミリ撮影だが、長沼六男・熊谷秀夫の撮影照明コンビ。バブル期に突然変異で出来た怪作。脚本は相楽晴子が主役だが、平山は若い女よりおっさんに気が行くと、柄本明の話に変えた。タイトルは平山がクリスチャンなので。田中小実昌と桂千穂だけ褒めてくれた。
日航の妨害にも遭った長編大作
出版と同時に激しい争奪戦があった原作。僕のプロットに山崎豊子からOKが出て、角川映画が映画化した。テヘランは入国注意でスルーしたが、カラチとナイロビはシナハンした。小川富美夫の美術、特に墜落現場は圧巻。三千万円かけた装置を使い、墜落直前の機内をリアルに撮った。もうこんな大作は作れぬものか。
11/28(土)
10:00『ガキ帝国』上映後
ゲスト:西岡琢也さん
12:40『TATTOO〈刺青〉あり』上映後
ゲスト:西岡琢也さん、春岡勇二さん(映画評論家)
11/29(日)
11:40『はいからさんが通る』上映後
ゲスト:西岡琢也さん
12/2(水)
15:20『沈まぬ太陽』上映後
ゲスト:西岡琢也さん、戸田学さん(作家・映画コラムニスト)
12/5(土)
17:50『恥辱の部屋』上映後
ゲスト:西岡琢也さん、荒井晴彦さん(脚本家・映画監督)
12/9(水)
15:40『人魚伝説』上映後
ゲスト:西岡琢也さん、小川智子さん(脚本家)
一般1600円、シニア1300円、学生・会員1200円、ハンディキャップ割1000円
一般3回券3900円、シニア3回券 3600円、学生・会員3回券3300円
※3回券は複数人数で使用不可
※トークショー付きの回は招待券・回数券使用不可
※ご鑑賞の7日前から窓口とオンラインでチケットのご購入が可能です。ご鑑賞当日はオンライン予約の方は専用窓口で発券、当日券の方は窓口で指定席をお選びの上、開始時間の10〜15分前からご入場いただきます。
<全席指定席>となります。満席の際はご入場出来ませんので、ご了承下さい。
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