『追悼のざわめき』を生み出したの原動力になったのは、
80年代インディーズ映画の神がかりな的なエネルギーであり、
松井良彦、佐野和宏という2人の男が出会ったことによるものである。
今、この男たちをみよ!
二人が、共に歩み始めた『錆びた缶空』『豚鶏心中』。
佐野和宏の初監督作品、『ミミズのうた』の3本を特集上映。
特集上映とは名ばかりの饗宴の幕が上がる・・。

『錆びた空缶』
1979年/59分
◎監督・制作・脚本:松井良彦/映像:石井聰亙
◎出演:田村三郎、佐野和宏、秋田光彦





同棲するホモセクシシュアルのカップルの前に、彼らの一人に一目惚れした第三の男が現れる。絡み合った三角関係が思わぬ悲劇をまねくことに・・・。撮影は石井聰亙が担当をしているが、 当時の石井のスピーディーなロックンロール・ムーヴィーとは異質な、重く切ない作品として仕上っている。 佐野和宏は本作の中では、自信に満ちた暴力を振るう、きわめて男根的・専制的キャ ラクターとして出演するが・・・・・。

『豚鶏心中』
1981年/90分
◎監督・脚本:松井良彦/撮影:原一男
◎出演:萩尾なおみ、服部隆宏、佐野和宏、日野利彦、ギリヤーク尼ヶ崎








在日韓国人の男女の、差別によって引き裂かれた愛とを、鮮烈に描いた、スキャンダラスな衝撃作。撮影は、原一男が担当。少年期のシーンでミイラが登場するなど、寺山修司的、あるいはフェリーニ的な美術世界が展開。主人公の愛の苦痛を、<屠殺>という視覚的苦痛の中で描写したシーンは、賛否まっ二つに評価が分かれた。 佐野和宏は、実の妹に自分の子供を孕ませた男の役を演じている。



『ミミズのうた』

1982年/カラー/80分
◎監督・脚本:佐野和宏/制作:石川あきら/撮影:福島清和
◎出演:佐野和宏/小水一男/五月マリア/松井良彦





松井良彦、石井聰亙らの自主製作映画への出演を経て、自ら監督した自主製作映画。初監督作品でありながら、孤独な日常と拳銃を手に入れ暴走する主人公の青年役を佐野自ら演じ、自作自演のスタイルを早くも確立している。83年のぴあフィルムフェスティバルに入選し、エジンバラ映画祭、アントワープ映画祭など海外の映画祭へ出品される。ハードで切ない佐野映画の原点がここにある。