ルイス・ブニュエル監督特集

優れた日本映画の数々を、国立映画アーカイブ所蔵の美しい35ミリプリントで上映する「優秀映画鑑賞会」。
戦中派の屈折をスケールの大きい活劇に昇華させた鬼才・岡本喜八と、独自の映像美学で世界中に熱狂的なファンを生んだ鬼才・鈴木清順—二人の鬼才対決!デジタルとは異なる美しい35ミリ・ニュープリントをワンコイン500円(1本)で一挙上映!

上映作品

けんかえれじい

けんかえれじい1966年/86分/日本
◎監督:鈴木清順◎原作:鈴木隆◎脚本:新藤兼人◎企画:大塚和◎撮影:萩原憲治◎照明:熊谷秀夫◎
録音:秋野能伸◎音楽:山本直純◎美術:木村威夫
◎出演:高橋英樹、浅野順子、 川津祐介、松尾嘉代、片岡光雄、野田圭介、恩田清二郎、宮城千賀子、加藤武、浜村純、佐野浅夫

◆ 昭和初期、岡山から会津若松に移り住んだ暴れ者の硬派学生が、喧嘩に明け暮れながらも成長してゆく様を活写したおおらかな青春映画。若き高橋英樹が主人公を熱演しているが、爽快なアクションや乾いたユーモアの中に、ふと恋愛感情を覚えた主人公を通して豊かな叙情性が表現されている。山本直純による硬軟のメリハリが効いた音楽も、主人公の揺れ動く心理を的確に表していると言えるだろう。監督の鈴木清順は、日活時代に低予算、短い撮影期間による娯楽作品の量産体制、いわゆる「プログラム・ピクチャ-」の中で独特のシャープな作風を完成させ、解雇後はフリーの脚本や俳優としても幅広く活躍した。ラストシーン近くに、やがて2・26事件で処刑される国家主義者北一輝が登場し、戦争に突き進む日本の姿を暗示しているが、原作にはなかったこの設定は鈴木監督が発案したものだという。

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東京流れ者

東京流れ者1966年/82分/日本
◎監督:鈴木清順◎原作・脚本:川内康範◎撮影:峰重義◎照明:熊谷秀夫◎録音:秋野能伸◎音楽:鏑木創◎美術:木村威夫
◎出演:渡哲也、松原智恵子、川地民夫、二谷英明、郷鍈治、浜川智子、吉田毅、玉川伊佐男、江角英明、北竜二

◆やくざ稼業から足を洗って恋人と結婚する決意をしていた青年が、敵対するヤクザに狙われ各地を転々とするが、ついに堪忍袋の緒が切れる…。前年にレコード発売された「東京流れ者」の作詞を手がけた川内康範が、原作と脚本を担当した歌謡アクション映画。渡世の義理から離れようと旅に生きる主人公を渡哲也が演じ、粋で武骨な“不死鳥の哲”を魅力的に体現した。ドラマの流れよりもシーンごとの色使いや様式性に重きを置いた大胆な鈴木清順監督の演出と美学が遺憾なく発揮され、海外での人気も高い代表作の一本となった。

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独立愚連隊

独立愚連隊1959年/108分/日本
◎監督:岡本喜八◎製作:田中友幸◎撮影:逢沢讓◎照明:西川鶴三◎録音:渡会伸、下永尚◎音楽、佐藤勝◎美術:阿久根巖
◎出演者:佐藤允、雪村いづみ、鶴田浩二、三船敏郎、夏木陽介、上原美佐、江原達怡、南道郎、中谷一郎、中丸忠、ミッキー・カーチス

◆成瀬巳喜男、マキノ雅裕らに師事した岡本喜八は、デビュー作『結婚のすべて』(1958)で斬新な娯楽映画の旗手として注目され、翌年『独立愚連隊』を世に送る。太平洋戦争末期の北支戦線を舞台に、独立愚連隊と称する前線の哨隊で命を絶った弟の死に不審を抱いた元軍曹が、従軍記者に扮して部隊に潜入、事件の背後に潜む上官の不正を暴きだす。シナリオ作家協会賞を受賞した自作の脚本をもとに、西部劇のエッセンスをパロディとして活かしながら、日本映画の伝統には見られない活劇調の戦争映画を作り上げた。終戦時に予備士官学校に籍を置いていた岡本の戦争に対する屈折した思いが、アクション映画の意匠から滲み出てくる。日本人ばなれしたバタ臭い魅力を放つ佐藤允を主役に、中丸忠雄、中谷一郎、ミッキー・カーチスら個性派俳優、鶴田浩二や三船敏郎が各々ユニークな役どころを演じ、痛快な娯楽作を盛り立てている。本作のヒットにより、「独立愚連隊」はシリーズ化され、その後、岡本は大作『日本のいちばん長い日』(1967)を手がけることになる。

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日本のいちばん長い日

日本のいちばん長い日1967年/157分/日本
◎監督:岡本喜八◎原作:大宅壮一◎脚本:橋本忍◎製作:藤本真澄、田中友幸撮影:村井博◎照明:西川鶴三◎録音、渡会伸◎音楽:佐藤勝◎美術:阿久根巌
◎出演:三船敏郎、笠智衆、米内海相、山村聰、宮口精二、戸浦六宏、志村喬、加藤武、高橋悦史、中丸忠雄、黒沢年男、天本英、伊藤雄之助、小林桂樹、加山雄三、新珠三千代、松本幸四郎、仲代達矢

◆1945(昭和20)年8月14日正午、御前会議によるポツダム宣言受諾の決定から、翌日正午の天皇による玉音放送にいたるまでの一日を描き、「大宅壮一編」として出版された半藤一利のノンフィクションを原作に、東宝がその前身となる写真化学研究所(PCL)のスタジオ建設から35周年を記念する作品として映画化。橋本忍の脚本を得て、岡本喜八監督が日本映画界を代表する男優陣総出演ともいえるキャストを、メリハリのある演出でさばき、日本映画史に一ページを画する大作に仕上げた。天皇による詔勅の文面が決定されるまでの前半は、陸相と海相とのやりとりに見られる緊迫した言葉のドラマを軸に展開され、後半は一転、終戦を阻止しようとする陸軍青年将校らによるクーデター計画を中心に、厚木航空隊、横浜警備隊の動きを絡ませながら、怒涛のようなテンポによる活劇が繰り広げられる。天皇が詔勅を録音するシーンと厚木基地での出撃場面のカットバックなど、戦中派である岡本のやるせない思いが細部にまでしみわたり、先の見えない国難に戸惑う者たちの心情が観る者の胸に迫ってくる。本作の成功により、東宝は以後6年間に亘り、「8.15シリーズ」と称した戦争映画を連作、岡本も1971年に再び大作『激動の昭和史 沖縄決戦』を手がけている。「キネマ旬報」ベストテン第3位。

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入場料金

当日券

特別料金(当日券のみ)1本500円均一

〈各回入替制〉1作品ごとにチケットが必要です。特別料金につき、各種割引はありません。満席の際はご容赦ください。

※連日朝より当日分の整理番号つき入場券の販売を開始します。
ご入場は各回10〜15分前より整理番号順となりますので、前売券なども受付にて入場券とお引き換えください。

スケジュール

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