ウカマウ集団 60年の全軌跡

南米ボリビアの映画集団ウカマウ─
世界をひっくり返した新しい映画運動と時を同じく
60年代から先住民の視点に立った映画づくりを続けるその60年の軌跡の全てを一挙上映!


南米ボリビアの映画製作集団ウカマウ。世界に新しい映画の波をもたらしたヌーヴェルヴァーグと時を同じく、白人層に力が集中していたボリビアで、住民の半数以上を占める先住民(アイマラ人やケチュア人ら)に無関係な映画を作ることはできないと考えたホルヘ・サンヒネスらを中心に、1962年に活動を開始。今もなお世界に訴えかける映画製作を続けている。その影響力は、中南米、欧米にとどまらずアジアの映画作家に及んでいる。今回の特集では、初上映となる新作2本を含む全14作品を一挙上映。

公式HP→https://www.jca.apc.org/gendai/ukamau/

上映作品

 

女性ゲリラ、フアナの闘い -ボリビア独立秘史-
Guerrillera de la Patria Grande, Juana Azurduy

2016年/カラー/103分
◎製作:ウカマウ集団◎監督:ホルヘ・サンヒネス◎音楽:セルヒオ・プルデンシオ
◎出演:メルセデス・ピティ・カンポス、クリスティアン・メルカード、フェルナンド・アルセ

◆スペイン植民地支配からの解放闘争を担った実在の女性、フアナ・アスルドゥイ(1780~1862)。映画は、ボリビアが独立を宣言した1825年、チュキサカ(現スクレ)にあるフアナの質素な住まいを、後に、ボリビアの国名の由来となるシモン・ボリーバルと、ボリビアの初代大統領となるアントニオ・ホセ・デ・スクレが訪ねるところから始まる。サンヒネス監督は「私の中で常に何かをかき立ててくれた人物。19世紀という時代の植民地主義者や宗教者の偏見と闘い、女性の、人間の、母親の権利獲得のためにゲリラ兵士となった。多くの女性たちに、とりわけ観てほしい」と語っている。

 

30年後 -ふたりのボリビア兵- 日本初上映
Los Viejos Soldados

2022年/カラー/105分
◎製作:ウカマウ集団◎監督:ホルヘ・サンヒネス◎音楽:セルヒオ・プルデンシオ
◎出演:クリスティアン・メルカード、ロベルト・チョケワンカ

◆ボリビア現代史の重要な事件・チャコ戦争(隣国パラグアイとの間で1932年から35年にかけて戦われた)で、同じボリビア軍に属していた白人で裕福な家庭出身のギレェルモとアイマラ人で貧農のセバスティアン。ギレェルモが、負傷したセバスティアンを救ったことから、ふたりの間には友情が育まれる。上官の人種差別的振る舞いに反抗し、軍事裁判で死刑判決を受けるギレェルモ。兵営から脱走を図り、セバスティアンも彼に同行するが、やがて二人は真逆の方向の道を辿ってゆく……。白人と先住民のステレオタイプなイメージを打ち壊し、融和の道を探す最新作。

 

革命
Revolución

1962年/白黒/10分

◆ありのままの画像・音楽・音を用いて、ボリビア民衆の貧窮の実態を示す第1作短編。
★64年ライプチッヒ映画祭ヨリス・イヴェンス賞 ほか

 

落盤
Derrumbamiento
¡Aysa!(ケチュア語原題)

1965年/白黒/20分

◆掘り尽くしたと見做して鉱山企業が見捨てた危険な場所で採石する鉱夫たちを描く。

 

ウカマウ
Así es
Ukamau(アイマラ語原題)

1966年/白黒/75分

◆ティティカカ湖上の太陽の島に住むインディオ農民の妻が、メスティーソの仲買人に暴行され、殺された。長い時間をかけての復讐を誓った青年の前途は? この初の長編映画が大きな評判を得て、タイトルが集団名として採用された。
★‘66年カンヌ映画祭青年監督賞

 

コンドルの血
Sangre de Cóndor
Yawar Mallku(ケチュア語原題)

1969年/75分/白黒

◆アンデスの一寒村に医療チームを名乗ってやってきた北米人たちは、診療所で何をしていたのか? 現実の出来事を題材に、先住民女性に対する強制的な不妊化手術の実態を描く。北米「平和部隊」の国外追放を実現した話題作。
★‘70年仏ジョルジュ・サドゥール賞 ほか

 

人民の勇気

El Coraje del Pueblo
1971年/白黒/93分

◆1967年6月24日、チェ・ゲバラ指揮下のゲリラの連帯を計画していた鉱山労働者の住宅区を政府軍が攻撃、多数が殺された。現場に居合わせた人びとの証言を通して再構成される歴史的事実。「史上もっとも力強い映画」と評価された。
★’71年ベルリン映画祭 OCIC(国際カトリック教会)賞
★'71ペサロ映画祭最優秀映画賞

 

第一の敵
El Enemigo Principal
Jatun Auk'a(ケチュア語原題)

1974年/白黒/98分

◆都市からやってきたゲリラと貧農の出会いから、反地主・反帝国主義の共同闘争の過程を描く。1980年日本で最初に紹介されたウカマウ集団の作品で、この映画が高い評価を得て、その後45年続く自主上映・共同製作の基盤をつくった。
★‘75年カルロヴィヴァリ映画祭グランプリ ほか

 

ここから出ていけ!
Fuera de Aquí!
Lloksy Kaymanta(ケチュア語原題)

1977年/白黒/102分

◆アンデスの先住民村に現れた北米人宣教師の、真の意図は? 村人の間に生じた精神的な亀裂につけ込んで、鉱物資源開発を目指して入り込む多国籍企業。先住民居住区にある資源は誰のものかを問う、先駆的な問題提起の映画。
★‘77年カンヌ映画祭監督週間正式出品 ほか

 

ただひとつの拳のごとく
Las Banderas del Amanecer

1983年/カラー/92分

◆1970年代の10年間を支配した軍事政権は、80年代初頭のどんな民衆運動によって打倒されたのか。今まさに胎動している民衆運動を内部から描いた、ウカマウ集団はじめてのドキュメンタリー作品は、群集シーンの力強さが印象的だ。
★‘83年ハバナ新ラテンアメリカ映画祭ドキュメンタリー部門グランプリ

 

地下の民
La Nación Clandestina

1989年/カラー/125分

◆街に暮らしてきた先住民セバスチャンは、かつて追放された村に帰る決意を固めた。現実と虚構、過去と現在を交錯させた大胆な手法で、過去への償いの旅を続ける男を通して、民族的アイデンティティの喪失と再生を描いた力作。
★‘89年サンセバスチャン映画祭グランプリ
★‘89年ハバナ新ラテンアメリカ映画祭 外国紙グラウベル・ローシャ賞

 

鳥の歌
Para Recibir el Canto de los Pájaros

1995年/カラー/100分

◆16世紀、アンデスを「征服」したスペイン人遠征隊の事業を批判的に捉える映画を作ろうとした映画スタッフが、ロケ地の先住民村で直面した現実とは?「ここから出ていけ」とまで迫られた映画人たちがたどる内省の過程を描く。ジェラルディン・チャプリン主演。
★‘95年ロカルノ映画祭「質と刷新」賞
★‘95年ボリビア映画祭 銀撫子賞

 

最後の庭の息子たち
Los Hijos del Ultimo Jardín

2003年/カラー/97分

◆民衆が経済危機の中で苦難の生活をおくるなか、政府高官は汚職を繰り返している。それに怒りを燃やし、何かの行動を考える青年。他方、現代風な享楽的な日々をおくる青年たち。確たる展望も持たぬままにもがく青春群像を描く。

 

叛乱者たち
Insurgentes

2012年/カラー/83分

◆18世紀末、スペインの支配からの解放を目指す先住民族の戦いに始まり、2005年、ついに先住民出身のエボ・モラレス政権が誕生するまでのボリビア史を物語る。さらにグローバリゼーションという大波に抵抗する21世紀の革命の映画を模索した。
★‘13国際政治映画祭第一位(ブエノスアイレス) ほか

イベント

12/13(土)12:05『地下の民』上映後トーク
ゲスト:太田昌国さん(シネマテーク・インディアス)
聞き手:小田香さん(映像作家)

12/14(日)11:55『30年後 -ふたりのボリビア兵-』上映後トーク
ゲスト:太田昌国さん(シネマテーク・インディアス)

 

入場料金

当日券

一般1600円、シニア1300円、会員・学生1200円、高校生以下・ハンディキャップ1000円

回数券

一般3回券4500円、シニア3回券3600円、会員3回券3300円

 

※ご鑑賞の7日前から窓口とオンラインでチケットのご購入が可能です。ご鑑賞当日はオンライン予約の方は専用窓口で発券、当日券の方は窓口で指定席をお選びの上、開始時間の10〜15分前からご入場いただきます。
<全席指定席>となります。満席の際はご入場出来ませんので、ご了承下さい。
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