ベトナム映画祭2023




UNDERGROUND CINEMA FESTIVAL 3

今回のテーマは『INVISIBLE』=見えないもの。日常の裏に隠された真実や、個人の内面にある叫びを、先鋭的な感性と類をみない表現で映し出す映画たちを特集します。パンク、シュール、ミニマル、クィーア…。商業映画では決して描かれない衝動や欲望を、既成の概念に縛られない自由な表現で描くのが、アンダーグラウンド映画の真骨頂。時代の風俗としてのアングラではなく、その強烈な個性ゆえに地下に潜り、時代とともに見えない存在となった、真にアンダーグラウンドな傑作たちを発掘し公開します。

観ることの出来なかった映像、聞かれることのなかった叫びが今、スクリーンに炸裂する!

公式HP→https://ucf3.sig-new.com/

《特集1:directer in focus》
ジョン・モリツグ、緑川珠見、居田伊佐雄。今、発見されるべき、 三人の映画作家を特集。

ジョン・モリツグ / Jon Moritsugu
『TERMINAL USA』(1993) 【日本初公開】
『MOD FUCK EXPLOSION』(1994) 【日本初公開】

青春怪談日系アメリカ人でパンクの映画作家ジョン・モリツグ。1985年に映画制作を開始以降、DIYの精神を貫き、ローファイ映像とパンク・ミュージックに乗せて、ジャンル映画を脱構築するアナーキーな作品を作り続ける。今回は、日系モデル・マイノリティの善良なイメージを徹底的に破壊する2本の問題作を日本初公開。2023年にオリジナル・ネガより作成された2Kレストア版による上映。

 

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緑川珠見 / Tamami Midorikawa
『蟹牡丹』(1991) 
『サルビア姉妹』(1995) 
『破壊する光は訪れる』(1996) 
『GARNET』(1996)

死の十字路個人や家族の内に潜む愛憎や欲望を、独自のシュールなイメージと言葉で描き出す緑川珠見。美術や舞踏を経て映画に辿り着いたその作品は、自由にスタイルを変えながらも、耽美で生々しい身体性を持ち、観る者の精神を揺さぶる。映画の知識なしに制作を始めた緑川の、既存の映画を超えた感性の世界。その独自性は、マヤ・デレンやウルリケ・オッティンガーとも通じる。長らく公開されていなかった8㎜の代表作を一挙公開。

【ニューデジタル版・ワールドプレミア】

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居田伊佐雄 / Isao Kota
『居田伊佐雄作品集1』(1972-1981)

東京の人 前後篇デビュー作『Far from the explosive form of fruit』(1972)、『オランダ人の写真』(1976)、『子午線通過』(1977) など、ミニマルで緻密な構造映画11作品。
[上映作品]
『Far from the explosive form of fruit』(1972年/日本/8分/カラー)
『ASCENSION』(1972年/日本/4分/カラー/サイレント)
『マリリン・マグダリーン』(1972年/日本/9分/カラー)
『オランダ人の写真』(1976年/日本/7分/カラー/サイレント)
『気流』(1975年/日本/14分/白黒/サイレント)
『プレパラート(100フィート版)』(1977年/日本/3分/カラー/サイレント)
『鉱物学者』(1977年/日本/11分/カラー/サイレント)
『 子午線通過』(1977年/日本/5分/カラー)
『ハンマー』(1977年/日本/5分/カラー)
『北半球』(1878年/日本/9分/カラー)
『満潮』(1981年/日本/7分/カラー)

『居田伊佐雄作品集2』 (1982-1991)

『エコー』(1982)、『影踏み』(1983)、『大きな石小さな夜』(1991)など、自然や物質を驚異的な撮影技術で捉えることで静かな詩情を表出する、写実的作品集。
[上映作品] 
『エコー』(1982年/日本/9分/カラー)
『回路計』(1983年/日本/15分/カラー)
『影踏み』(1983年/日本/14分/カラー)
『地球の石』(1986年/日本/36分/カラー)
『大きな石小さな夜』(1991年/日本/13分/カラー)

70年代初期より個人映画を制作し、その緻密で端正な作品が国内外で高い評価を受けた映像作家・居田伊佐雄。長い間映画の世界と距離を置き、上映が困難だった至高の作品群がついに復活。映画の原初的な驚きが躍動するミニマルな構造映画から、自然を繊細に捉えるカメラの眼がマクロとミクロを繋ぐ幽玄の世界を生み出す作品まで、代表作を網羅した2プログラム16作品。

【ニューデジタル版・ワールドプレミア】


 

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《特集2:Burning NAGOYA ‘80s》

 映画、ロック、小劇場、舞踏などの表現がジャンルを超えて混じり合い、燃え上がった80年代、名古屋アンダーグラウンド。その渦中でアナーキーな映画を作り上げた長谷川久と河原木宏尚を特集。2人とも既に故人となり、消失の危機に瀕していた作品を関係者の協力によりデジタル化。河原木宏尚の作品は既に廃棄されていたが、残されていたVHSテープより奇跡的に再生された。

長谷川久 / Hisashi Hasegawa
『ねんねこりんりん』(1981)

誘惑キャンプ感覚満載のトラッシュでキュートなSFラブ・メルヘン。近親相姦、天女の策略、地球の破滅…、幾多の困難を乗り越え、はればなれになったカップルが新しい星で結ばれるまでを壮大なスケールとチープな演出で描く、インディーズ・カルトの傑作!長谷川自身によるポップな音楽も秀逸。
★1981年ぴあフィルムフェスティバル入選

 

 


『とまとぴん』(1982)

イジメを受ける聖子ちゃんカットのそら子と孤児のナマオは出会い、野菜を育てながら新生活を開始。しかし、ナマオは母を探して旅立ち、そら子は野菜の妖精ニーナにもらった魔法のトマトを手にナマオの後を追う…。キッチュで愉快な奇想天外メロドラマ。少年王者舘の天野天街が妖精ニーナを怪演。
★1982年フジ8mmコンテスト入選

【両作品ニューデジタル版・ワールドプレミア】



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河原木宏尚 / Hironao Kawaragi
『乱 ・Easter』(1981)

大島渚をして「品性下劣!」と言わしめた超問題作。パンクと土着のアナキズムが炸裂する暗黒世界が圧倒的な速度で展開する。アングラ文化の余韻とパンク・アティチュードが融合した、80年代初頭のアンダーグラウンドの感覚が生み出した“ヴィジュアル・スキャンダル”。

『Crazy Dolls』(1984)

ゆがんだ月名古屋のパンクス、小劇場、舞踏などアンダーグラウンドのスターを総動員したサイバーパンク巨編として構想され、アフリカ・ロケまで敢行しながら、未完に終わった作品。13分に凝縮されたこのパワーは何だ!主演は渡辺まちこと中村達也。The Star Club、白虎社など豪華出演陣にも注目。

【両作品デジタル復刻版・ワールドプレミア】


 

 

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《特集3:追悼・中村雅信》

2023年3月に逝去した異能の映像作家・中村雅信を追悼する特別プログラム。現存する全作品を上映する『中村雅信大回顧展』のファイナルとして、中村雅信作品史上最長で最大の問題作を、今回限りの限定公開。

中村雅信 / Masanobu Nakamura
『生き埋めにされるフィルム達に』(1989)

喧嘩太郎フェティッシュでエロチックな主題と脅迫的な反復、再撮影による幻想的な作風が世界的に再評価される鬼才が、自作の膨大なアウトテイクを再構成。未公開作品の映像も交え、自身の70~80年代を過激に総括する。フィルムと対象へのフェティシズムとエロティシズムが横溢する、怒涛の142分!

★イメージフォーラム・フェスティバル招待
【ニューデジタル版・ワールドプレミア】



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《特別上映:discovery》
アンダーグラウンドから浮上した、必見の作品を特別上映。

金井勝/ Katsu Kanai
『王国』(1973)

あした晴れるか『無人列島』『GOOD-BYE』に続く、”微笑う銀河系三部作”最終章〈天の巻〉は、〈時間の神〉に挑戦する、神話的な冒険譚。八王子からガラパゴス、そして天中へ、詩人・五九勝丸が、空間と時間を超えて駆け上がってゆく!大和屋竺、ゼロ次元の岩田信市、城之内元晴、佐藤重臣らの怪演にも注目。70年代初頭にガラパゴス島ロケを敢行した、アングラの帝王の面目躍如たる超大作自主映画!



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大木裕之 / Hiroyuki Oki『心の中』(1999)

無鉄砲大将現代美術をはじめ多彩に活躍する大木裕之の劇場公開映画の傑作が復活。幾重にも重ねられた映像が、死に向かうゲイ・カップルの意識の流れのように次々と現れては消える。現在の大木裕之の映像作品にも通じる手法により、フィクションとドキュメンタリーを越境する作品。
    

★山形国際ドキュメンタリー映画祭招待
【ニューデジタル版・ワールドプレミア】



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鈴木章浩/ Akihiro Suzuki
『天使の楽園』(1999)

草原に黄色い花を見つける Tôi thay hoa vàng trên co xanh薔薇族映画〈ゲイ・ポルノ〉として制作されながら、アート映画として高く評価され、海外映画祭に多数招待された“アンチ・ヘテロ映画”。撮影に映像作家・黒澤潤、出演に今泉浩一、ほたる、大木裕之など多彩な顔触れを迎え、個人映画を思わせる実験的手法で描かれる、ゲイの青年の生と死を巡る物語。

★ロッテㇽダム国際映画祭、ぴあフィルム・フェスティバルほか、多数招待。
【ニューデジタル版・ワールドプレミア】



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イベント

1月16日(火)20:15~『天使の楽園』の上映後トークショー
ゲスト:鈴木章浩監督+崟利子さん(映画作家)

1月17日(水)20:00~『破壊する光は訪れる』+『GARNET』上映後トークショー
ゲスト:緑川珠見監督

入場料金

当日券

●一般1,300円/シニア1,200円/会員・学生1,100円/高校生以下1,000円
※回数券・招待券使用不可

※ご鑑賞の7日前から窓口とオンラインでチケットのご購入が可能です。ご鑑賞当日はオンライン予約の方は専用窓口で発券、当日券の方は窓口で指定席をお選びの上、開始時間の10〜15分前からご入場いただきます。(※回数券のご購入、ご予約は窓口のみ)
<全席指定席>となります。満席の際はご入場出来ませんので、ご了承下さい。
オンラインチケットはこちら


スケジュール

上映プログラム
① A『MOD FUCK EXPLOSION』+L『Crazy Dolls』 (80分)
② B『TERMINAL USA』+K『乱・Easter』(73分)
③ C『蟹牡丹』+D『サルビア姉妹』(74分
④ E『破壊する光は訪れる』+F『GARNET』(66分)
 G『居田伊佐雄作品集 1』(82分)
⑥ H『居田伊佐雄作品集 2』(87分)
⑦ I『ねんねこりんりん』+J『とまとぴん』(70分)
⑧ M『生き埋めにされるフィルム達に』(142分)
⑨ N『王国』(80分)
O『心の中』(89分)
⑪ P『天使の楽園』(61分)

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