戦争と人間

第一部「運命の序曲」

第一部「運命の序曲」1970年/カラー/ワイド/197分 キネマ旬報ベストテン第2位

◆昭和3年春、新興財閥伍代家では、当主・伍代由介(滝沢修)の長男英介(高橋悦史)渡米の歓送会が行われていた。話題の中心は、由介の実弟喬介(芦田伸介)が進める「満州伍代」の利権に関わる満州の情勢に集まった。満州では、張作霖打倒のため蒋介石が北伐を始めたのだった。敗走する張作霖軍によって在留邦人の財産・生命が危険にさらされた時に関東軍を出兵させ、張作霖軍を武装解除させるべきだという強硬論者は、英介と喬介の二人であった。彼らに反対したのは、中学生の次男俊介(中村勘九郎)だけであった。共産党の大弾圧があった3.15事件の際に逮捕された標拓郎の弟耕平もその場に居合わせ、俊介は耕平と心が通じ、またプロレタリア画家灰山(江原真二郎)の感化により伍代家に対して批判的になっていた。伍代家の長女由紀子(浅丘ルリ子)は陸軍参謀本部の佐川少佐の部下である柘植進太郎中尉(高橋英樹)へ愛を傾けていた。昭和6年、満州事変が始まり、死の商人たる伍代家は本格的に大陸進出を図った。続く昭和7年、上海事変へと戦いはエスカレートしていく。由紀子は出征する柘植に会いに行くが、戦争の運命の前に愛の約束も無意味なものに思われるのだった。


第二部「愛と悲しみの山河」

第二部「愛と悲しみの山河」1971年/カラー/ワイド/179分 キネマ旬報ベストテン第4位

◆成長した伍代俊介(北大路欣也)は、時代に対しても、軍に接近をはかる伍代家そのものに対してもいらだちと怒りをつのらせていた。さらに俊介は、兄英介の元婚約者で今は、狩野市郎(西村晃)と愛のない結婚生活を送っている人妻温子(佐久間良子)との狂おしい愛にとりつかれていた。俊介の親友となった標耕平(山本圭)は、伍代家の次女順子(吉永小百合)が寄せる愛を痛いほど分かっていたが、左翼の反戦活動家として生きていくと決めているため、順子を危険に巻き込むことを恐れ、避けていた。伍代財閥を満州で拡大させようと図っている喬介は、軍部の上層部と通じて大規模な阿片密売を行っていた。それを日本軍の特務機関として摘発したのは、皮肉にも満州へ配属になった柘植だった。やがて2.26事件が勃発。深刻な不況と軍部権力の増大は、日本を巨大な戦争へと走らせる巨大なバネになっていった。昭和11年12月、大陸の抗日運動は西安事件を経て抗日統一戦線が結成され、歴史的な転換を見せた。一方、標耕平は、反戦運動のため特高に逮捕され拷問を受けた。時代の流れが戦争へと突き進むなか、やっと釈放された耕平に召集令状が届く。耕平と順子は迫り来る暗黒を前に激しく抱擁するのだった。


第三部「完 結 篇」

第三部「完 結 篇」1973年/カラー/ワイド/187分 キネマ旬報ベストテン第10位

◆昭和12年、中国駐屯の日本軍は、天津付近で中国軍と戦闘を開始した。泥沼の日中戦争の始まりである。同年12月、南京が陥落。日本軍による1ヶ月に渡る大量虐殺も行われた。一方東京、伍代家。華やいだ雰囲気の中で長女由紀子(浅丘ルリ子)の結婚披露宴がすすめられていた。由紀子は柘植への愛を胸に秘めながら、父由介が決めた政略結婚に身を沈めたのだった。次女順子(吉永小百合)は兄俊介のはからいで、標耕平と駆け落ち同然で結婚式を挙げ伍代家を後にした。標は大陸の戦線へと駆り出されたが、日本軍の蛮行を目の当たりにし自分の主義を守り通す。俊介は、反戦活動を問われ投獄されてしまう。しかし伍代の威光で獄から解かれ、その矛盾に自ら対ソ戦の第一線に、一兵卒として銃をとるのだった。昭和14年、満州と外蒙古の国境ノモンハンで、国境紛争からソ連軍との間に大規模な戦闘が開始された。日本軍は、高度に機械化された物量を誇るソ連軍に惨敗。俊介が属する部隊も徹底的な壊滅をみる。柘植もソ連軍の陣地に斬り込み、壮烈な最期を遂げた。やがて日本は、中国・満州だけではなく無謀な太平洋戦争へと猛進していく……。

(三部作共通)監督:山本薩夫 原作:五味川純平 脚色:山田信夫(一部・二部・三部)、武田敦(二部・三部) 撮影:姫田真佐久 音楽:佐藤勝 企画:大塚和、武田靖、宮古とく子 美術:横尾嘉良(一部・二部・三部)、深民浩(一部・二部)、大村武(三部)照明:岩木保夫(一部・二部)、熊谷秀夫(三部) 史料考証:澤地久枝(一部・二部) 協力監督:河崎保(三部)、ニキタ・オルロフ(三部)

出演:滝沢修、芦田伸介、浅丘ルリ子、高橋悦史、吉永小百合、北大路欣也、三國連太郎、山本圭、中村勘九郎、二谷英明、岸田今日子、江原真二郎、高橋幸治、松原智恵子、高橋英樹、加藤剛、栗原小巻、田村高廣、山本學、地井武男、佐久間良子、西村晃、和泉雅子、夏純子、鈴木瑞穂、丹波哲郎、石原裕次郎

入場料金

前売券

前売3部作セット券3,000円 (前売はセット券のみ)
※前売券は劇場窓口、チケットぴあ、セブンイレブン、サークルKサンクス(以上、Pコード:466-316)、他にて販売中!

当日券

一般1,400円/学生1,200円/シニア1,100円/会員・高以下1,000円
当日3部作セット券3,600円/シニア3部作セット券/会員3部作セット券2,700円

※連日朝より当日分の整理番号つき入場券の販売を開始します。
ご入場は各回10〜15分前より整理番号順となりますので、前売券なども受付にて入場券とお引き換えください。

スケジュール

9/5(土)〜11(金)10:10 第一部『運命の序曲』/13:50 第二部『愛と悲しみの山河』/17:10 第三部『完結編』

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