没後50年 映画監督内田吐夢

森﨑 東 監督略歴
◆1927年11月19日、長崎県島原市生まれ。小学生の頃、大牟田市に移り青少年時代を過ごす。日本が敗戦を迎えた翌日、割腹自殺した海軍少尉候補生の兄・湊の死に衝撃を受ける。「この(3つ上の)兄へのコンプレックスと愛と反撥が映画づくりの軸になっている」という。3年浪人の末、熊本の第五高等学校に入学するが、新制に切り替えとなり、熊本大学に1年いて京都大学に移る。京大在学中は学内新聞に所属しながら政治活動に傾倒。この頃から進路として映画業界を意識し、54年の卒業後、『時代映画』誌の編集を経て、56年に松竹京都撮影所に入社。助監督を務めていたが、65年の京都撮影所閉鎖に伴い、松竹大船撮影所の脚本部に移籍。山田洋次監督作『吹けば飛ぶよな男だが』『男はつらいよ』などの脚本に参加した。1969年に『喜劇 女は度胸』で監督デビュー。71年の『喜劇 女は男のふるさとヨ』に始まる「喜劇・女シリーズ」は、学生運動衰退の時代に学生たちから強烈な支持を得る。頰一面の髭面と、作品に便所を出す癖から、城戸四郎から「不潔だ。ひげを剃ってこい」と嫌われ、75年に松竹に契約を打ち切られ、以後フリーの監督として映画や多くのテレビドラマを手がける。◆77年にATGで撮った『黒木太郎の愛と冒険』では秘めていた心情を吐露。割腹自殺した兄・湊の遺書を主人公が読む鎮魂の思いも込めた森﨑の「8 1/2」となった。80年代は再び松竹で『時代屋の女房』『ロケーション』『塀の中の懲りない面々』などを手掛ける一方、原発、沖縄、外国人労働者など様々な主題を盛り込んだ社会への怒り、庶民への愛がてんこ盛りになった『生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言』、2000年に心筋梗塞で倒れるが復帰し、2003年にシマフィルム第1回製作作品となった『ニワトリはハダシだ』など傑作を手がける。同作は第54回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に招待され、第17回東京国際映画祭最優秀芸術貢献賞を受賞。遺作となった2013年の『ペコロスの母に会いに行く』はキネマ旬報ベストテン第1位に選ばれた。計25本の劇場公開映画を監督した一方、テレビドラマの脚本・演出も数多く手がけた。2020年7月16日、神奈川県内の病院にて逝去。享年92歳。

上映作品

2020年7月16日に亡くなった森﨑東監督。一周忌を迎える2021年夏、追悼上映を開催。1969年の監督デビュー作『喜劇 女は度胸』に始まり、70年代の「女シリーズ」で映画ファンを虜にした森﨑東監督。その映画は、庶民喜劇の形をとりながら、鋭い人間凝視の視点と、笑いの底に下層に生きる人々の怒りを秘めた、笑いと涙、そして社会への憤りに満ち溢れた「喜劇でなく怒劇」の作品群だった。その後も、喜劇、サスペンス、メロドラマと様々な題材で、社会から虐げられている人々の悲しみや怒りをスクリーンに描き続けた。戦争、学生運動、沖縄、原発、外国人労働者など様々な問題を映画に盛り込んだ映画の枠さえも超えるごった煮風“たった一人の反乱的美学”! 渥美清、森繁久彌、原田芳雄、三國連太郎、赤木春恵、渡哲也、そして今年3月に亡くなった田中邦衛…森﨑映画に欠かせない名優たちが次々と鬼籍に入る中、映画ではその存在が永遠に光り輝いている。森﨑監督、そして亡くなった名優たちを偲んで、関西では初めてとなる監督作品のすべて全25本とテレビ作品2本の森﨑東監督の全貌、一挙上映!

 

喜劇 女は度胸

喜劇 女は度胸1969年/松竹大船/35mm/90分
監督:森﨑東/原案:山田洋次/脚本:大西信行、森﨑東/撮影:高羽哲夫/音楽:山本直純/美術:熊谷正雄
出演:倍賞美津子、清川虹子、渥美清、河原崎建三、花沢徳衛、沖山秀子、春川ますみ

◆助監督、脚本家として松竹で活躍していた森﨑が、40歳を過ぎて初監督した記念すべき監督デビュー作。羽田空港の騒音が響くドブ川べりの下町を舞台に、がさつな兄(渥美)と純情な弟(河原崎)の恋人取り違え事件(!)を描く人情喜劇。人間のバイタリティ、女の逞しさと男の頼りなさ、そして「喜劇でなく怒劇」という森﨑作品の魅力が溢れた傑作!

 

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男はつらいよ フーテンの寅

男はつらいよ フーテンの寅1970年/松竹大船/35mm/90分 監督:森﨑東/脚本:山田洋次、小林俊一、宮崎晃/撮影:高羽哲夫/美術:佐藤公信/音楽:山本直純
出演:渥美清、倍賞千恵子、新珠三千代、森川信、三崎千恵子、前田吟、香山美子、花沢徳衛、河原崎建三、佐藤蛾次郎、笠智衆、樹木希林

◆「男はつらいよ」のテレビ版、そしてシリーズ第1作で脚本に関わったもう一人の寅さんの生みの親・森﨑が第3作を監督。山田版のソフトでしっとりとした情緒溢れる寅次郎とは異なり、眼光鋭くドロ臭く人間臭い寅さんを描き出し、シリーズ中でも異色の輝きを見せている。三重県・湯の山温泉の旅館の美人女将(新珠)に一目惚れしてしまう寅さんだが…。

 

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喜劇 男は愛嬌

喜劇 男は愛嬌1970年/松竹大船/35mm/87分
監督:森﨑東/脚本:森﨑東、熊谷勲、梶浦政男/撮影:吉川憲一/美術:芳野尹孝/音楽:山本直純
出演:渥美清、倍賞美津子、寺尾聰、沖山秀子、財津一郎、花沢徳衛、浜村純、中川加奈、桜むつ子

◆“男は度胸、女は愛嬌”が、森﨑映画だと逆! 『喜劇 女は度胸』の続編といえる第3作。今度の兄弟は、遠洋マグロ船から帰ってくるたびに騒動を巻き起こす兄(渥美)と、心優しく一途な弟(寺尾)。鑑別所から戻ってきた同じ貧乏長屋に住む春子(倍賞)の結婚相手を兄弟で探そうと画策するが…。ぶっ壊したい森﨑の欲望は、なんとダンプで家までつぶす!?

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高校さすらい派

高校さすらい派1970年/松竹大船/35mm/86分 
監督:森﨑東/原作:滝沢解、芳谷圭児/脚本:森﨑東、熊谷勲/撮影:吉川憲一/美術:佐藤公信/音楽:小山恭弘
出演:森田健作、武原英子、山本紀彦、佐藤友美、吉沢京子、神田隆、佐野浅夫、山本麟一、内田朝雄、笠智衆


◆時は1970年、学園闘争をテーマとした滝沢解原作、芳谷圭児漫画の映画化。少年院を出た荒木勉(森田)は、地方の私立高校に編入するが、そこは学校側に反発する学園闘争の真っ盛り。森田や生徒、理事長の娘たちは、学校側に抵抗して講堂に籠城するが敗北は間近に迫っていた…。森﨑監督が青春の挫折を通し、自己の青春をダブらせ描いた異色作。

 

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喜劇 女は男のふるさとヨ

喜劇 女は男のふるさとヨ1971年/松竹大船/35mm/91分 
監督:森﨑東/原作:藤原審爾/脚本:山田洋次、森﨑東/撮影:吉川憲一/美術:梅田千代夫/音楽:山本直純
出演:森繁久彌、中村メイコ、倍賞美津子、緑魔子、河原崎長一郎、伴淳三郎、犬塚弘、園佳也子、花沢徳衛

◆ストリッパー斡旋所「新宿芸能社」を舞台に、人情に厚い経営者夫婦(森繁と中村)と、「家族」として住むストリッパーたちの悲喜こもごもを描いた「喜劇・女シリーズ」第1作。身寄りがなく貧しいけれども逞しい女たちの優しさ、強さ、したたかさが大反響、映画も大ヒット。70年代、学生運動衰退の時代にあって、全共闘世代に愛された傑作。倍賞と緑が素晴らしい!


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喜劇 女生きてます

喜劇 女生きてます1971年/松竹大船/35mm/90分 
監督:森﨑東/原作:藤原審爾/脚本:熊谷勲、森﨑東/撮影:吉川憲一/音楽:山本直純/美術:佐藤之俊
出演:森繁久彌、左幸子、安田道代、吉田日出子、久万里由香、久里千春、橋本功、藤岡琢也、佐藤蛾次郎、田中邦衛

◆「女シリーズ」第2作は森繁と左が経営者夫婦。ヤクザのヒモがいる好子(安田)、お金を貯めたい短大卒のインテリ(吉田)、美人だけど頭が弱く慰み者にされる女(久万里由香=真理アンヌの妹)らストリッパーたちの強烈な笑いと涙に満ちた人生を描く。またもヒモ(橋本)が家を徹底的に破壊。そんな彼が、まさかのインターナショナルを歌う?

 


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生まれかわった為五郎

生まれかわった為五郎1972年/松竹大船/35mm/87分
監督:森﨑東/脚本:森﨑東、猪又憲吾、熊谷勲/撮影:吉川憲一/美術:佐藤之俊/音楽:宮川泰
出演:ハナ肇、緑魔子、財津一郎、殿山泰司、北林谷栄、高橋長英、三木のり平、都家かつ江、桜井センリ

◆TV番組「ゲバゲバ90分」のキャラクター・為五郎をハナ肇が演じるドタバタ喜劇シリーズ「為五郎」第5弾。瀬川昌治、野村芳太郎に続き最終章を監督。セールスマン(財津)とホステス(緑)の仲を取り持った為五郎は、二人のためにひと肌脱ぐが…。森﨑作品とあって、徹底的な破壊とすったもんだの驚きの展開。ハナが人情味溢れる豪放さで好演。

 

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喜劇 女売り出します

喜劇 女売り出します1972年/松竹大船/35mm/89分 
監督:森﨑東/原作:藤原審爾/脚本:掛札昌裕、森﨑東/撮影:吉川憲一/美術:佐藤之俊/音楽:山本直純
出演:森繁久弥、市原悦子、夏純子、米倉斉加年、久里千春、荒砂ゆき、岡本茉莉、中川加奈、西村晃、財津一郎、小沢昭一

◆「女シリーズ」第3作は森繁と、今度は市原が夫婦。スリの少女(夏)が新宿芸能社で働くことになり、手品ストリップで人気者に。しかし、スリ仲間(米倉)が彼女を取り返しにやってきて…。体を張って生きるストリッパーたちの不器用だけど逞しく生きる姿をペーソス溢れる泣き笑いで描く傑作。森﨑の反権力の思想が炸裂し、最高傑作ともいわれる初期代表作。

 

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女生きてます 盛り場渡り鳥

女生きてます 盛り場渡り鳥1972年/松竹大船/35mm/89分 
監督:森﨑東/脚本:掛札昌裕、森﨑東/原作:藤原審爾/撮影:吉川憲一/美術:佐藤之俊/音楽:山本直純
出演:森繁久弥、中村メイコ、川崎あかね、山崎努、なべおさみ、春川ますみ、浦辺粂子、財津一郎、南美江、藤原釜足

◆再び森繁と中村が夫婦になり末尾を飾るシリーズ第4作。「新宿芸能社」にやってきた女(川崎)は色情狂の母(春川)の影響で、男に触れられるとジンマシンが出てしまう。そんな彼女と吃音の労務者(山崎)が結ばれるまでを、想像を超えたシーンの連続で描いたパワー溢れる森﨑映画の傑作。「女シリーズ」はここに至って映画ファンの伝説と化した。これぞ、怒喜劇!

 

 

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藍より青く

藍より青く1973年/松竹大船/35mm/94分 
監督:森﨑東/原作:山田太一/脚本:森﨑東、熊谷勲/撮影:竹村博/美術:重田重盛/音楽:佐藤勝
出演:松坂慶子、大和田伸也、三國連太郎、佐野浅夫、赤木春恵、田中邦衛、尾藤イサオ、殿山泰司、財津一郎

◆山田太一原作のNHK朝ドラを森﨑が映画化。敗戦の兆しが見え始めた昭和19年、天草の漁村を舞台に、校長の娘(松坂)と入営を控えた網元の長男(大和田)の純愛を描く。教え子を戦地に追いやる典型的な校長だが徴兵される男との結婚には反対する父を三國が好演。天草近くの島原出身の森﨑が描く反戦メロドラマ。クライマックスは、本物の台風の中で撮影!

 

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野良犬

野良犬1973年/松竹大船/35mm/104分
監督:森﨑東/原作:黒澤明、菊島隆三/脚本:一色爆/撮影:吉川憲一/美術:佐藤之俊/音楽:佐藤勝
出演:渡哲也、芦田伸介、松坂慶子、赤木春恵、中島真智子、緑魔子、佐藤蛾次郎、田中邦衛、殿山泰司

◆尊敬する黒澤明『野良犬』(1949年)のリメイク。ピストルを奪われた若い刑事(渡)が野良犬と化して犯人捜しに執念を燃やし奔走する姿を、現代の風俗と世相を背景に描く。敗戦直後の時代を背景とした黒澤の名作に対し、当時と異なる高度成長時代とあって断りたい企画だったが、権力への怒りや沖縄出身の若者など、黒澤版を強引にひっくり返す形で映画化。

 

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街の灯

街の灯1974年/松竹・田辺エージェンシー/35mm/91分
監督:森﨑東/脚本:森﨑東、梶浦政男/撮影:吉川憲一/美術:重田重盛/音楽:佐藤勝
出演:堺正章、栗田ひろみ、笠智衆、森繁久彌、吉田日出子、財津一郎、田中邦衛、フランキー堺、研ナオコ

◆ポン引きのチョロ松(堺)がブラジル帰りの老人(笠)と美少女(栗田)と連れだって、東京から老人の故郷・九州大牟田まで旅するロードムービー。辿り着いた故郷は、昔のものを取り壊し、経済成長ですっかり街も人も変わり果てていた。老人は祖国に怨みをぶつけるように銀行強盗するが…。棄民の怒りを爆発させる笠の怪演!心情溢れる森﨑の傑作。

 

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喜劇 特出しヒモ天国

喜劇 特出しヒモ天国1975年/東映京都/35mm/78分 
監督:森﨑東/原作:林征二/脚本:山本英明、松本功/撮影:古谷伸/美術:吉村晟/音楽:広瀬健次郎
出演:山城新伍、池玲子、芹明香、カルーセル麻紀、川地民夫、川谷拓三、絵沢萠子、森﨑由紀、殿山泰司、藤原釜足

◆髭面と便所を出す癖から、城戸四郎から「不潔だ。ひげを剃ってこい」と嫌われ、75年に松竹に契約を打ち切られ、東映で撮ったフリー第1作。墓場の裏に建つストリップ小屋「A級京都」で実際に撮影され、ストリッパーとヒモたちのドタバタを笑いと涙で描く。主演者の土壇場交代など制作もドタバタながら、近年評価が高まる傑作。芹明香がすごい!

 

 

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黒木太郎の愛と冒険

黒木太郎の愛と冒険1977年/馬道プロダクション・ATG/35mm/110分 
監督・脚本:森﨑東/原作:野呂重雄/撮影:村上雅彦/美術:田口和男/音楽:佐藤勝 出演:田中邦衛、財津一郎、伴淳三郎、清川虹子、小沢昭一、三國連太郎、緑魔子、杉本美樹、沖山秀子、伊藤裕一(智生)、岡本喜八

◆初めて大手から離れた低予算映画ながら、その後の森﨑作品の大きな転換点となった傑作。気弱なくせに冒険好きでおせっかいな映画スタントマン・黒木太郎(田中)を主人公に、家族たちや友人、映画監督を夢みる若者たちが絡みあうハチャメチャでパワフルなごった煮的群像劇。居酒屋で口論となった伊藤裕一を映画に誘い、映画監督を志す若者に起用。

 

 

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時代屋の女房

時代屋の女房1983年/松竹/35mm/97分 
監督:森﨑東/原作:村松友視/脚本:荒井晴彦、長尾啓司、森﨑東/撮影:竹村博/音楽:木森敏之/美術:芳野尹孝
出演:夏目雅子、渡瀬恒彦、津川雅彦、大坂志郎、平田満、中山貴美子、初井言栄、藤木悠、藤田弓子、朝丘雪路、趙方豪

◆前作『黒木太郎の愛と冒険』から6年、松竹では8年ぶりとなる監督復帰作。村松友視の直木賞受賞作を、わずか2年後に亡くなるとは想像だにできない夏目雅子主演で映画化。東京・大井町で古道具屋「時代屋」を営む安さん(渡瀬)のところに、猫を抱えた謎の美女が転がり込んで…。伝説の女優・夏目雅子の可憐さとミステリアスさに魅了される人情譚。

 

 

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ロケーション

ロケーション1984年/松竹/35mm/99分 
監督:森﨑東/原作:津田一郎/脚本:近藤昭二、森﨑東/撮影:水野柾樹/美術:福留八郎/音楽:佐藤充彦
出演:西田敏行、大楠道代、美保純、柄本明、加藤武、竹中直人、角野卓造、佐藤B作、乙羽信子、殿山泰司、愛川欽也

◆トラブルが続出するピンク映画のロケ先において、脚本を変えつつ右往左往する撮影隊の姿を撮った映画内映画。現実と映画の境目が曖昧になり物語が交錯、まったく先が読めない映画の醍醐味。果たして映画はできるのか…? トリュフォーの『アメリカの夜』を下品にしたカツドウヤ魂の魅力。カメラマン役の西田、急遽主役に抜擢される美保純など怪演!

 

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生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言

生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言1985年/キノシタ映画・ATG/35mm/105分 
監督:森﨑東/脚本:近藤昭二、大原清秀、森﨑東/撮影:浜田毅/美術:高橋章/音楽:宇崎竜童 出演:倍賞美津子、原田芳雄、平田満、梅宮辰夫、泉谷しげる、左とん平、殿山泰司、小林トシ江、小林稔侍、片石隆弘、竹本幸恵

◆旅回りのストリッパー、原子力発電所を転々と渡り歩く“原発ジプシー”、娼婦、ヤクザ、そして悪徳刑事にダメ教師…。原発から沖縄、外国人労働者と今に続くニッポンの社会問題をてんこ盛りに、ハミダシ者たちからの視点で描いた森﨑の代表作。コメディ、アクション、メロドラマあり、底辺に行きる人々のバイタリティ溢れる森﨑宴会映画にして人間賛歌!

 

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塀の中の懲りない面々

塀の中の懲りない面々1987年/松竹映像・磯田事務所/35mm/91分
監督:森﨑東/原作:安部譲二/脚本:鈴木則文、梶浦政男/撮影:坂本典隆/音楽:佐藤勝/美術:重田重盛 出演:藤竜也、植木等、山城
新伍、柳葉敏郎、川谷拓三、小柳ルミ子、花沢徳衛、安部譲二

◆元ヤクザで延べ8年刑務所暮らしの安部譲二が自らの服役生活をもとに書いた同名ベストセラー小説を森﨑が映画化した痛快群像劇。刑務所の中で、ひと癖もふた癖もある受刑者たちそれぞれを、にぎにぎしくも哀歓を込めて描き大ヒット。禁じられた口笛を吹く受刑者たちの哀歓の一方、世間ずれした彼らの夢想や回想が次々と映像に現れ、抱腹絶倒の面白さ!

 

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女咲かせます

女咲かせます1987年/松竹映像/35mm/93分 
監督:森﨑東/原作:結城昌治/脚本:梶浦政男、森﨑東/撮影:坂本典隆/音楽:佐藤勝/美術:森田郷平
出演:松坂慶子、役所広司、川谷拓三、平田満、田中邦衛、柄本明、名古屋章、清川虹子、佐々木すみ江、梅津栄、草野大悟、あき竹城


◆野村芳太郎の『白昼堂々』(1968年)のリメイク。前作が渥美清、本作では松坂慶子に主演を大胆に代え、森﨑ワールドてんこ盛りのコメディメロドラマ。父親仕込みの泥棒・豊代(松坂)が貧乏チェロ弾き(役所)に惚れ、最後の大仕事・10億円強奪のため郷里の高島炭鉱に帰って父の仲間に声をかける…。渥美が演じたワタ勝に田中邦衛。笑って怒って泣いて、森﨑の真骨頂!


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夢見通りの人々

夢見通りの人々1989年/松竹/35mm/95分 
監督:森﨑東/原作:宮本輝/脚本:梶浦政男/撮影:坂本典隆/美術:森田郷平/音楽:佐藤勝
出演:小倉久寛、南果歩、大地康雄、西川弘志、笑福亭仁鶴、すまけい、原田芳雄、正司照枝、月亭八方、桂小文枝、三宅裕司、柳葉敏郎、乙羽信子

◆宮本輝原作をもとに『喜劇 特出しヒモ天国』以来となる大阪が舞台の人情喜劇。「夢見通り」とは名ばかりの、ひと癖もふた癖もある住民たちが住む商店街。森﨑らしいはみだし者たちの共同体にあって、詩人志望の春太(小倉)と彼が思いを寄せる美容師の光子(南)を軸に、関西喜劇人総出演で描く群像劇。二転三転する恋愛劇の行方、怪演する原田芳雄も見もの。


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釣りバカ日誌スペシャル

釣りバカ日誌スペシャル1994年/松竹/35mm/106分 
監督:森﨑東/原作:やまさき十三、北見けんいち/脚本:山田洋次、関根俊夫/撮影:東原三郎/美術:重田重盛/音楽:佐藤勝
出演:西田敏行、三國連太郎、石田えり、谷啓、富田靖子、田中邦衛、加勢大周、西村晃、加藤武、前田武彦、戸川純

◆西田と三國が「ハマちゃん&スーさん」に扮する「釣りバカ」シリーズ。1988年の第1作から過去6作が正月映画『男はつらいよ』の併映作だったが、夏休み1本立て特別篇として森﨑が初登板。社長業に追われるスーさんのもとに、親友の山内(西村)が息子の縁談話を持ってきて、さらに不倫騒動など、ハマちゃんを巻き込んでの大騒動の行方はいかに!?


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美味しんぼ

美味しんぼ1996年/松竹・フジテレビ・ポニーキャニオン・小学館・博報堂/35mm/105分 
監督:森﨑東/脚本:丸内敏治、梶浦政男・撮影:東原三郎/美術:横山豊/音楽:井上尭之 
出演:三國連太郎、佐藤浩市、羽田美智子、遠山景織子、竜雷太、芦田伸介、田中邦衛、樹木希林

◆究極のメニューと至高のメニュー、“食”を極めるのはどちらか? 大ブームを巻き起こした人気漫画の映画化。料理対決するのは、疎遠になっていた主人公とその父。実際、当時確執があったといわれる三國連太郎と佐藤浩市の本格的な共演とあって話題になった。料理バトルの醍醐味と、確執の原因となった母とのことなど、不思議なリアル感の娯楽大作。

 

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ラブ・レター

ラブ・レター1998年/松竹・衛星劇場/35mm/108分 
監督:森﨑東/原作:浅田次郎/脚本:中島丈博、森﨑東/撮影:浜田毅/美術:重田重盛/音楽:松村禎三
出演:中井貴一、山本太郎、耿忠、根津甚八、柄本明、倍賞美津子、大地康雄、洞口依子、内田春菊、李媛、大杉漣、笹野高史

◆映画化権を得るのが争奪戦となったほどの大ベストセラーを、原作者・浅田が大の森﨑ファンということもありご指名で映画化。新宿歌舞伎町のしがない裏ビデオ屋の店長(中井)に偽装結婚の話が持ち掛けられ…。不法入国、偽装結婚、就労、そして売春と、入管の問題を縦糸に、遠い異国の地でひとり淋しく死んでいった中国人女性の切なさを描くメロドラマ。

 

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ニワトリはハダシだ

ニワトリはハダシだ2004年/シマフィルム・ビーワイルド・衛星劇場/35mm/114分 
監督:森﨑東/製作総指揮:志摩敏樹/脚本:森﨑東、近藤昭二/撮影:浜田毅/美術:磯見俊裕/音楽:宇崎竜童ほか
出演:肘井美佳、浜上竜也、原田芳雄、倍賞美津子、加瀬亮、石橋蓮司、余貴美子、李麗仙

◆『黒木太郎の愛と冒険』『生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言』に続く怒りと笑いのごった煮的活劇。京都・舞鶴を舞台に、知的障害を持つ少年が巻き込まれる大事件の結末とは…。在日朝鮮人、障害者、警察の汚職など、現代日本が抱える社会問題をぎっしり詰め込み、混沌とした中での猥雑で骨太な笑いから庶民の逞しさを描く集大成!

 

 

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ペコロスの母に会いに行く

ペコロスの母に会いに行く2013年/「ペコロスの母に会いに行く」製作委員会/DCP/113分 監督:森﨑東/原作:岡野雄一/脚本:阿久根知昭/撮影:浜田毅/美術:若松孝市 音楽:星勝、林有三
出演:赤木春恵、岩松了、原田貴和子、加瀬亮、竹中直人、大和田健介、原田知世、宇崎竜童、温水洋一

◆前作から9年、85歳にして認知症の初期症状でありながら最後に監督したのは、赤木春恵初主演で認知症がテーマの笑いと涙の感動作だった!長崎在住の岡野雄一の原作をもとに描く介護喜劇映画。「記憶は愛」だとする森﨑のもとに豪華キャスト、そして彼を慕い支えるステッフが結集。見事キネ旬ベストテン1位に輝き、森﨑映画大団円となった。

 

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特別上映

 

田舎刑事 まぼろしの特攻隊

ペコロスの母に会いに行く1979年/テレパック・ANB/デジタル/95分
監督:森﨑東/脚本:早坂暁/撮影:小笠原滋
出演:渥美清、西村晃、高峰三枝子、宇都宮雅代、信欣三、浜村純、赤塚真人、南美江

◆土曜ワイド劇場渥美清「田舎刑事」シリーズ第3弾。大分の飛行場跡地でセーラー服を着た女学生の絞殺死体が発見される。県警の杉山(渥美)は捜査を続ける中で、特攻隊員が桜の木の下で女学生と行為をするブルーフィルム「マリアもの」を作り続ける男(西村)に辿りつくが…。“特攻隊の生き残り”を自称する男を描いた恐るべきフィルム・ノワールの傑作!

 

 

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帝銀事件 大量殺人 獄中三十二年の死刑囚

ペコロスの母に会いに行く1980年/松竹・ANB/デジタル/137分
監督:森﨑東/原作:松本清張/脚本・新藤兼人/撮影:小杉正雄/監修:野村芳太郎
出演:仲谷昇、橋本功、田中邦衛、中谷一郎、小松方正、戸浦六宏、浜田寅彦、稲葉義男、木村理恵、大塚道子

◆戦後最大の犯行と言われた「帝銀殺人事件」を松本清張原作・新藤兼人脚本でドラマ化した森﨑の隠れた名編。当時、再審請求が提出されていた渦中にあって、刑事(田中)が画家・平沢(仲谷)を犯人と決めつける強引な取り調べ、事件の悲惨さ、不自然さ、理不尽さを浮き上がらせる。その後、87年に獄中死した平沢の無念さ…。これは冤罪だ!

 

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トークショー開催!!

7/31(土)13:20『黒木太郎の愛と冒険』上映後
ゲスト:伊藤智生監督(『黒木太郎の愛と冒険』出演)、上野昂志さん(映画評論家・批評家)

 

8/1(日)13:20『生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言』上映後
ゲスト:上野昂志さん(映画評論家・批評家)

 

8/28(土)13:45『ニワトリはハダシだ』上映後
ゲスト:志摩敏樹さん(「シマフィルム」代表・『ニワトリはハダシだ』製作総指揮)

 

入場料金

前売券

前売1回券1,100円/前売5回券4,500円

当日券

一般1,500円/学生・シニア1,100円/会員・高校生以下1,000円
当日5回券5,500円/シニア5回券5,000円/会員5回券4,000円

※ご鑑賞の3日前から窓口とオンラインでチケットのご購入が可能です。ご鑑賞当日はオンライン予約の方は専用窓口で発券、当日券の方は窓口で指定席をお選びの上、開始時間の10〜15分前からご入場いただきます。(※回数券のご購入、ご予約は窓口のみ)
<全席指定席>となります。満席の際はご入場出来ませんので、ご了承下さい。
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