そしてキアロスタミはつづく デジタル・リマスター版特集上映

上映作品

『友だちのうちはどこ?』にはじまるジグザグ道三部作や、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した『桜桃の味』などで知られるイランを代表する巨匠アッバス・キアロスタミ監督(Abbas Kiarostami、1940年6月22日-2016年7月4日)。詩や写真でも才能を発揮していた彼の映画は人生の真実にあふれ、観た者の心に忘れえぬ記憶として今なお残りつづけている。

そのキアロスタミ監督の珠玉の傑作7作品が生誕81年を記念してデジタル・リマスター版でスクリーンに甦る! 本来は生誕80年である2020年に、フランス・パリのポンピドゥーセンターでの回顧展「Abbas Kiarostami Ou est l’ami Kiarostami?」に合わせて日本でも劇場公開を企画していたが、コロナによって回顧展が延期。その後、没後5周年となる2021年5月に同展が開催されたのを受け、世界的にキアロスタミ監督の再評価が高まるなか、日本でも満を持してデジタル・リマスター版が劇場初公開される。

今回の7作品はパリのmk2、ニューヨークのクライテリオンコレクション、ボローニャのラボ、リマジネ・リトロヴァータが2年をかけて修復した4Kまたは2Kリマスター版となる。上映は全作品2Kで行われる。



トラベラー

トラベラー1974年/イラン/モノクロ/72分
出演:ハッサン・ダラビ、マスウード・ザンドベグレー/監督・脚本:アッバス・キアロスタミ
原案:ハッサン・ラフィエイ/撮影:フィルズ・マレクザデエ/編集:アミール・ホセイン・ハミ/録音:アハマッド・アスカリ/音楽:カンビズ・ロシャンラヴァン
(C)1974 KANOON
75年第9回テヘラン国際児童映画祭・審査員金賞 93年山形国際ドキュメンタリー映画祭・特別招待作品

♦サッカーに夢中な少年の、可笑しくもせつない冒険譚。キアロスタミ監督の瑞々しい長編デビュー作。

小学校に通う10歳のガッセムは、サッカーに夢中なあまり宿題も授業もさぼりがちで、いつも先生や母親に叱られてばかりいる。そんな彼の夢は、テヘランで開催されるサッカーの試合を見に行くこと。そのためには、テヘランまでのバス代とチケット代が必要だ。サッカーのためなら嘘も盗みも厭わないガッセムは、友達のアクバルを道連れに、あの手この手でお金を稼ごうとする。果たして彼は無事サッカーの試合を見ることができるのか…?チケットを求めて走り回るガッセム少年の姿を瑞々しく描き出した、キアロスタミ監督の記念すべき長編デビュー作。少年の大胆不敵さに笑いながらも、彼の一途な思いにどこか哀切を感じずにいられない、可笑しくもせつない冒険譚。


このページのトップへ


友だちのうちはどこ?

友だちのうちはどこ?1987年/イラン/カラー/83分
出演:ババク・アハマッドプール、アハマッド・アハマッドプール、ホダバフシュ・デファイ、イラン・オタリ
監督・脚本・編集:アッバス・キアロスタミ/撮影:ファルハッド・サバ/録音:ジャハンギール・ミルシェカリ/美術:レザ・ナミ
(C)1987 KANOON
87年ファジル国際映画祭・最優秀監督賞、最優秀録音賞、審査員特別賞
89年ロカルノ国際映画祭・銅豹賞、国際批評家賞、芸術協会賞、国際芸術映画同盟賞、国際キリスト教協会賞

♦友だちの家を探して、少年は必死で駆けていく。子どもの純朴さと不安をリアルに映し出した至福の傑作。

イラン北部の小さな村。同級生モハマッド=レザのノートを間違えて持ち帰ってしまったアハマッド少年。「ノートを忘れたら退学だ」という先生の言葉を思い出したアハマッドは、ノートを届けに、遠く離れた友だちの家へと走り出す。何度も道に迷い、大人たちに翻弄されるアハマッド少年の不安げな表情が、のどかな風景のなか実にスリリングに映し出される。職業俳優を使わず、村の住人や子どもたち、実際の家や学校を用いて撮影するキアロスタミの撮影スタイルを象徴する作品であり、キアロスタミの名を世界各国に知らしめた、映画史上に輝く傑作。アハマッドが何度も走り抜ける「ジグザグ道」の風景は、その後の作品にも受け継がれていく。


このページのトップへ


ホームワーク

ホームワーク1989年/イラン/カラー/77分/ドキュメンタリー
出演:シャビッド・マスミ小学校の生徒と親たち、アッバス・キアロスタミ(インタビュアー、ナレーション)
監督・編集:アッバス・キアロスタミ/撮影:イラジ・サファヴィ/録音:アハマッド・アスカリ/音楽:モハマッド=レザ・アリゴリ
(C)1989 KANOON

 

♦インタビューを通して見えてくる子どもたちの多彩な顔と言葉。宿題をテーマにした傑作ドキュメンタリー。

『友だちのうちはどこ?』で高い評価を得たキアロスタミが次に手がけたのは、宿題と学校教育をめぐるドキュメンタリー。イランの子どもたちはいつもたくさんの宿題に追われていると感じたキアロスタミは、自らインタビュアーとなり、小学校の生徒たちや親たちへ、「宿題」をめぐって次々に質問をする。「なぜ宿題をしてこなかったの?」「誰が宿題を見てくれるの?」その答えから見えてくるのは、それぞれの複雑な家庭事情。家の手伝いに追われて宿題ができない子。宿題を見てあげようにも読み書きのできない親。そうして徐々にイランの教育制度の持つ問題点が浮き彫りになる。社会への警鐘を鳴らしながら、子どもたちの多彩な顔や言葉を見事に記録した傑作。

 

このページのトップへ


そして人生はつづく

そして人生はつづく1992年/イラン/カラー/95分
出演:ファルハッド・ケラドマンド、プーヤ・パイヴァール、ハドーバル及びロフタマバードの住民
監督・脚本・編集:アッバス・キアロスタミ/撮影:ホマユン・パイヴァール/録音:ハッサン・ザヘディ、チャンギス・サイヤッド/ミキシング:チャンギス・サイヤッド/製作:アリ=レザ・ザリン
(C)1991 KANOON
92年カンヌ国際映画祭・ある視点部門、ロッセリーニ賞
92年東京国際映画祭・インターナショナル・コンペティション正式出品


♦『友だちのうちはどこ?』の少年たちを探す監督親子の旅 大地震の起きたイランで見つけたのは、生きることへの希望

1990年、イラン北部で起きた大地震は、『友だちのうちはどこ?』を撮影した村にも容赦なく襲いかかった。地震後、キアロスタミは映画に出演した兄弟の安否を確認しに、息子を連れて被災地へ向かう。本作は、その時の経験をそのままに再現。撮影は地震から半年後に実際の被災地で行われ、監督役には当時イランの経済庁で働いていた男が抜擢された。「私の映画に出ていた子たちを知ってる?」。車に乗り、少年たちを探しまわる監督親子の奇妙なロードムービー。そこには、地震で崩壊した村の悲惨な現状がまざまざと映し出される一方で、人間のたくましさと生きることへの希望が刻まれている。『友だちのうちはどこ?』と『オリーブの林をぬけて』をつなぐ重要作。


このページのトップへ

 

オリーブの林をぬけて

オリーブの林をぬけて1994年/イラン/カラー/103分
出演:ホセイン・レザイ、タヘレ・ラダニアン、モハマッド=アリ・ケシャヴァーズ、ザリヘ・シヴァ、ファルハッド・ケラドマンド
製作・監督・脚本・編集:アッバス・キアロスタミ/撮影:ホセイン・ジャファリアン、ファルハッド・サバ/音楽:マハムード・サマクバシ/ミキシング:チャンギス・サイヤッド/助監督:ジャファール・パナヒ
(C)1994 Ciby 2000 - Abbas Kiarostami
94年カンヌ国際映画祭・コンペティション正式出品、94年ロカルノ国際映画祭・特別招待作品

♦映画づくりの裏にはいつもドラマが隠されている
『友だちのうちはどこ?』『そして人生はつづく』に続く「ジグザグ道三部作」完結

『そして人生はつづく』の1シーンで、地震の数日後に結婚したという若夫婦。だが実際に夫役を演じた青年ホセインは、以前、妻役のタヘレにプロポーズし断られていた。ふたりの過去を知ったキアロスタミは、このエピソードをもとに映画をつくることを決意。前二作に登場した村、そしてジグザグ道を舞台に、再び至福の映画が誕生する。結婚を諦めきれないホセインと決して彼の言葉に応えようとしないタヘレ。果たして彼女の気持ちはどこにあるのか…?映画内映画という入れ子細工のような構成のなかで、虚構と現実の境界線はどこまでも曖昧になっていく。映画製作の裏側で巻き起こるドラマをユーモアたっぷりに描き出す、キアロスタミ流ラヴストーリー。


このページのトップへ


桜桃の味

桜桃の味1997年/イラン・フランス/カラー/99分
出演:ホマユン・エルシャディ、アブドルホセイン・バゲリ、アフシン・バクタリ、アリ・モラディ、ホセイン・ヌーリ
監督・脚本・製作・編集:アッバス・キアロスタミ/撮影:ホマユン・パイヴァール/録音:ジャハンギール・ミルシェカリ、モハマッド・レザ・デルパック/助監督:ハッサン・イェキタ、バフマン・キアロスタミ
(C)1997 Abbas Kiarostami
97年カンヌ国際映画祭・パルムドール

♦97年カンヌ国際映画祭・パルムドール受賞 巨匠アッバス・キアロスタミの名前を不動のものにした不朽の名作!

土埃が舞う道中、一台の車を運転する中年男バディ。彼は、街ゆく人々に声をかけ、車のなかに誘い入れてはある奇妙な仕事を持ちかける。「明日の朝、穴の中に横たわった自分に声をかけ、返事があれば助けおこし、返事がなければ土をかけてほしい。そうすれば大金を君に渡そう」。人生に絶望したバディの自殺幇助の頼みを、車内に招かれた、クルド人兵士、アフガン人の神学生らはみな拒絶する。だが最後に乗せたひとりの老人は、生きることの喜びをバディに語って聞かせるのだったーー。一台の車のなかで展開される生と死をめぐる果てない会話。自殺という深遠なテーマを扱った物語は、やがて思いもかけぬラストと共に、見る者に生の喜びと人生の美しさを教えてくれる。


このページのトップへ


風が吹くまま

風が吹くまま1999年/イラン・フランス/カラー/118分
出演:ベーザード・ドーラニー、ファザード・ソラビ
監督・脚本・製作・編集:アッバス・キアロスタミ/原案:マハムード・アイェディン/撮影:マハムード・カラリ/音楽:ぺイマン・ヤズダニアン/サウンド編集:マハマッド・ハッサン・ナジム/録音:ジャハンギール・ミルシェカリ/助監督:バフマン・ゴバディ/製作:マラン・カルミッツ
(C)1999 MK2 PRODUCTIONS-ABBAS KIAROSTAMI
99年ヴェネチア国際映画祭審査員グランプリ受賞

♦小さな村を訪れたテレビ・クルーの男たち 引き延ばされた死の瞬間は、人生の妙味と喜びを与えてくれる

テヘランから、クルド系の小さな村を訪れたテレビ・クルーたち。彼らは独自の風習で行う村の葬儀の様子を取材しに来たのだが、村を案内する少年ファザードには自分たちの目的を秘密にするよう話して聞かせる。男たちは、危篤状態のファザードの祖母の様子をうかがいながら、数日間の予定で村に滞在する。だが数週間経っても老婆の死は訪れず、ディレクターのベーザードは、予定外の事態に苛立ちを募らせる。麦畑に囲まれた美しい風景のなかで繰り広げられる、主人公と個性豊かな村人たちとのユーモア溢れるやりとり。死を待つ時間という特異な瞬間を写し、キアロスタミの人生哲学をたっぷりと堪能できる一作。1999年ヴェネチア国際映画祭審査員グランプリ受賞作。

このページのトップへ

入場料金

当日券

一般1,500円/学生・シニア1,100円/会員・高校生以下1,000円

※ご鑑賞当日はオンライン予約の方は専用窓口で発券、当日券は受付窓口で指定席をお選びの上ご購入ください。開始時間の10〜15分前からご入場いただきます。
前売券なども受付にて座席指定券とお引き換え下さい。1週間前よりオンライン&窓口でご購入いただけます(ただし、前売券は窓口のみ。)
<全席指定席>となります。満席の際はご入場出来ませんので、ご了承下さい。
オンラインチケットはこちら

スケジュール

スケジュール

Copyright2022,Cinenouveau,All right reserved