【伊藤高志 短編集1】
SPACY
1981年/10分/モノクロ&カラー
音響:稲垣貴士
◆九州芸術工科大学の松本俊夫ゼミで作った16ミリ映画処女作。体育館内に置かれた写真パネルに技術的には突入できるはずですと松本先生にプレゼンした時、発想は面白いけどできるの?と言われ、その視覚運動の実現のために死に物狂いになった作品。突入したラッシュを見た時に驚きは忘れられない。
BOX
1982年/8分/モノクロ&カラー
音響:稲垣貴士
◆立方体のそれぞれの面に風景写真を貼りつけコマ撮りした。箱は永遠に回転しているように見えるが、実際は90度しか回転していない。この視覚のトリックは『SPACY』と基本は同じである。立体から平面へ、またその逆へと空間の認識の錯乱がねらい。
THUNDER
1982年/5分/カラー
音響:稲垣貴士
◆長時間露光による全編コマ撮りの16ミリ映画。大学の校舎内で10日間ほど毎晩7〜8時間、夜が明けるまで撮影。スライドプロジェクター(ポジフィルムの写真を1枚ずつ投影)で女性の顔を壁面に投影し、懐中電灯やストロボを持った友人たちが走り回るという現場で、時々松本先生が覗きにきては「ホラー映画?」とからかってくれた。
DRILL
1983年/5分/モノクロ
サイレント
◆西武百貨店入社1年目に手がけた写真のコマ撮り作品。社会人になっても映画を作るという気概で作った16ミリ映画。空間を異様に歪ませる方法を写真アニメで実現できると年中思いつきいつか映像にしたいと思っていた。映像の素材を全社築の玄関に限定したのは日常美さが非日常化する落差を際立たせたかったため。
GHOST
1984年/6分/カラー
音響:稲垣貴士
◆『THUNDER』制作時に思いついた、像を宙に浮かすアイデアを実現したくてこの作品を作った。全編長時間露光によるコマ撮り撮影。当時住んでいた会社の寮で仕事から帰って夜撮影、朝2時間ほど寝て出勤するという生活が続き死にそうになった。
GRIM
1985年/7分/カラー
音響:稲垣貴士
◆室内の様々なモノからその表皮のみが剥ぎ取られ宙を漂い他のモノに貼りつくというアイデアの『GHOST』制作時に思いつきこの作品でふくらませてみた。この作品も全編長時間露光のコマ撮り。GRIMとは“ぞっとするような”という意味。
写真記
1986年/3分/カラー
サイレント
◆8ミリフィルム作品は、そのほとんどが福岡で開催されている3分間映画特集『パーソナル・フォーカス』のために制作したものだ。この作品は日頃撮りためておいた日記的写真をラフな気分でアニメートしたもの。
WALL
1987年/7分/カラー
音響:稲垣貴士
◆インテリア会社の15秒CMとして手がけたものを発展させて完成させた作品。手に持った写真のフレームの中でレンガ造りの巨大な倉庫が激しく半回転の往復運動を繰り返す。写真という平面性を壊しながらそのフレームにダイナミックな奥行き感を作りたかった。
写真記 ’87
1987年/3分/カラー
サイレント
◆日常の様々な出来事に目をむけてその時の自分の気持ちを告白してゆくような日記映画に、自分ならではのトリッキーな手法で描きたいと思った。親戚の結婚式の写真、自宅の窓から見える景色、旅の記録写真などを様々な技法でコマ撮りしていった。
悪魔の回路図
1988年/7分/カラー
音響:稲垣貴士
◆屋根の間から1本だけそびえ立つ60階建ての高層ビルが物凄いスピードで回転する映画。高層ビルを中心にした半径4〜500mの円周を48分割し、その地点から写真を撮りそれらの素材をコマ撮りしていった。当初富士山でやろうと思ったがその労力を想像してあきらめた。
ミイラの夢
1989年/5分/モノクロ/サイレント
◆表層的な美の裏側はすべてが腐敗してしまっているという都会のイメージを映像化。人の姿が消えた街の風景や廃墟ばかりが掲載されたような建造物など、“死”のイメージを探すため東京都内をくまなく歩き回って撮った写真を素材にアニメートした。