生誕100年記念映画祭 市川崑 光と影の仕草

 

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1948年市川崑はデビュー作『花ひらく』以降、新東宝を皮切りに東宝、日活、大映と各社をまたにかけ、『ビルマの竪琴』『東京オリンピック』『犬神家の一族』などジャンルにしばられることなく常にエポックメーキングとなる話題作を世に送り出しました。そのいずれの作品においても徹底した美意識が貫かれ、大胆な実験精神とスタイリッシュな演出スタイルは多くの観客を魅了し、日本映画界に独自の地位を築きました。1997年に『黒い十人の女』がリバイバル上映されると、若い世代から絶賛され大ヒットを記録するなど、そのスタイルは時代を超えて愛されています。 現在活躍するクリエイターに与えた影響もはかり知れず、山田洋次をはじめ、三谷幸喜、庵野秀明、岩井俊二などの現在第一線で活躍するクリエイターで市川崑ファンを公言する人は少なくありません。 2015年開催された第65回ベルリン国際映画祭での特集上映にはじまり、香港国際映画祭、世界での巡回上映など海外で再評価されています。また日本においても、第28回東京国際映画祭で『炎上』4Kデジタル復刻版のジャパン・プレミアをはじめ、1970年大阪万博日本館で上映された8面マルチ映像作品『日本と日本人』や海外で発見され新聞でも大きく報じられた初期のアニメーション作品『弱虫珍選組』が上映されるなど、大きな話題を呼んでいます。 今回の映画祭では監督として更なる進化を遂げた大映時代の作品を中心に、市川崑を語る上では外せないと思われる作品を中心にラインナップしました。 「映像は所詮、光と影だと思います、光と影がドラマなのです。その光と影は、尽き果てることのない永遠のものだと思います。」光と影を駆使し、漆黒の闇の世界に儚くも美しい家族の愛を照射させ、まばゆい光の中に人間の孤独を描いた市川崑―デジタル復元を施した『おとうと』『雪之丞変化』『炎上』など日本映画史に燦然と輝く傑作の数々を是非ご堪能頂ければ幸いです。

人間模様

人間模様1949年/白黒/89年/スタンダード/新東宝
原作:丹波文雄 脚本:山下与志一、和田夏十
撮影:小原譲治 美術:河野鷹思
出演:上原謙、山口淑子、月丘千秋、青山五郎、江見渉、東山千栄子、斎藤達雄、伊藤雄之助

◆戦後の混乱した社会に生きる男女のもつれた「人間模様」に、市川流の乾いたタッチで挑む。後の市川組に欠かせない怪優伊藤雄之助が、薄幸のヒロイン山口淑子の元情夫役で初登場。ここでの「和田夏十」は監督と夫人との共同ペンネームである。

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暁の追跡

暁の追跡1950年/モノクロ/93分/スタンダード/新東宝
脚本:新藤兼人 撮影:横山実 美術:中古智
音楽:飯田信夫
出演:池部良、水島道太郎、伊藤雄之助、田崎潤、杉葉子、野上千鶴子、江見渉、三原純、菅井一郎、藤原釜足

◆若い警察官(池部良)と警官隊が麻薬密輸団を追いつめていく、ドキュメンタリー・スタイルの野心作。警視庁の後援を得て、新橋にあった本物の交番に俳優達を立たせて撮影を敢行した。1950年の東京の街を映した記録としても高い価値を持つ。脚本は新藤兼人。

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夜來香(いえらいしゃん)

夜來香(いえらいしゃん)1951年/モノクロ/86分/スタンダード/新東宝
脚本:松浦健朗、市川崑 撮影:横山実
美術:加藤雅俊 音楽:服部良一、小川寛典
出演:上原謙、久慈あさみ、利根はる恵、川喜多小六、河村黎吉、月丘千秋、菅井一郎

◆かつて中国戦線で知り合った元軍医(上原謙)と慰安婦(久慈あさみ)が、敗戦後の内地でめぐり合う。山口淑子のヒット曲にのせて敗戦後の暗さを巧みににじませたメロドラマで、宝塚歌劇団の男役スターから抜粋された久慈あさみの第1回主演作品である。

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あの手この手

あの手この手1952年/モノクロ/92分/スタンダード/大映京都
原作:京都伸夫 脚本:和田夏十、市川崑 撮影:武田千吉郎 美術:西岡善信 音楽:黛敏郎
出演:久我美子、水戸光子、堀雄二、森雅之

◆ラジオドラマ「アコの贈物」を原作に、倦怠期夫婦の前に現れたお転婆娘の大騒動を描くホームドラマの佳作。奈良の菖蒲池と大阪を舞台にした市川流家庭劇。共同ペンネームの「和田夏十」は、「脚本の才能ではとても妻に及ばない」と『愛人』(1951)以来、夫人専用のペンネームになる。

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プーサン

プーサン1953年/モノクロ/98分/35mm/スタンダード/東宝
原作:横山泰三 脚本:和田夏十、永來重明、市川崑 撮影:中井朝一 美術:阿久根巌 音楽:黛敏郎
出演:伊藤雄之助、小泉博、小林桂樹、越路吹雪、杉葉子、八千草薫、菅井一郎、トニー谷

◆心酔していた横山泰三の風刺漫画を大胆にデフォルメ、やもめ教師プーサンの悲哀をブラックユーモアで包んだ市川監督の出世作。就職難、汚職、外食券食堂、血のメーデー事件など当時の世相を盛り込んだ「風刺喜劇」の快作。日本銀行の本店でロケを敢行!?

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愛人

愛人1953年/モノクロ/87分/35mm/スタンダード/東宝
原作:森本薫 脚本:和田夏十、井手俊郎
撮影:玉井正夫 美術:村木忍 音楽:黛敏郎
出演:越路吹雪、岡田茉莉子、有馬稲子、三國連太郎、尾棹一浩、菅井一郎、伊藤雄之助

◆高原のロッジへ避暑に訪れた二家族の出会いから幕を開ける、爽やかで洗練された恋愛ドラマの秀作。かねてより監督が機知溢れるダイアローグに憧れていた森本薫の戯曲の翻案で、「新感覚派的な演出をやった」と監督自身が語る最高にソフィスティケートされた人気の高い一編。

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わたしの凡てを

わたしの凡てを1954年/モノクロ/85分/35mm/スタンダード/東宝
原作:菊田一夫 脚本:梅田晴夫、浅野辰雄、市川崑撮影:三浦光雄 美術:阿久根巖 音楽:服部良一 
出演:池部良、有馬稲子、伊東絹子、上原謙、加東大介、藤原釜足、出雲八重子

◆ミス・ユニバース第三位で一躍有名になった伊東絹子を主役にしたメロドラマ。池部良は姉を探して上京した娘(伊東)と社長令嬢(有馬)との間で三角関係になる会社員。女優のデビュー作で相手役が多かった池部ならではのスマートなエスコートぶり。

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億万長者

億万長者1954年/モノクロ/83分/スタンダード/青年俳優クラブ
脚本:市川崑、安部公房、横山泰三、長谷部慶次、和田夏十 撮影:伊藤武夫 美術:平川透徹 音楽:団伊玖磨
出演:木村功、伊藤雄之助、春日俊二、岡田英次、久我美子、左幸子、山田五十鈴

◆平凡な税務署員のつくった、脱税汚職のメモが引き起こす大騒動。目まぐるしい世の中に「僕自身もキリキリ舞いしていた」という監督の心情を反映して、鋭利な風刺に満ちたブラック・コメディとなった。結末をカットした配給会社に抗議し、監督は自らの名もフィルムから削った。

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こころ

こころ1955年/モノクロ/122分/16mm/スタンダード/日活
原作:夏目漱石 脚本:猪俣勝人、長谷部慶次
撮影:伊藤武夫 音楽:大木正夫 美術:小池一美
出演:森雅之、新珠三千代、三橋達也、安井昌二、北林谷栄、田村秋子

◆陰影に富んだ映像のなかに明治の時代精神を刻印した、漱石原作の映画化。森雅之や三橋達也ら役者陣のアンサンブルに支えられ、文芸ものに新生面を見せたシリアスな人間ドラマ。市川の正統派としての一面をはっきした貴重な一遍。三橋達也の眼光が印象的。

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ビルマの竪琴

ビルマの竪琴1956年/モノクロ/116分/スタンダード/日活
原作:竹山道雄 脚本:和田夏十 撮影:横山実
美術:松山崇 音楽:伊福部昭
出演:三國連太郎、安井昌二、浜村純、内藤武敏、西村晃、春日俊二、三橋達也、伊藤寿章、青木富夫

◆戦死した同胞の供養のため終戦後もビルマに残ることを決意した一人の兵隊を、戦友たちの目を通して描いた名作。水島上等兵が奏でる堅琴の調べ、戦地での「植生の宿」の歌声なども深く胸をうつ。ヴェネチア国際映画祭サン・ジョルジョ賞、アカデミー外国語映画賞ノミネートの初期の代表作。

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処刑の部屋

処刑の部屋1956年/モノクロ/96分/スタンダード/大映東京
原作:石原慎太郎 脚本:和田夏十、長谷部慶治
撮影:中川芳久 美術:下河原友雄 音楽:宅孝二
出演:川口浩、若尾文子、宮口精二、岸輝子

◆石原慎太郎の原作に独自の解釈を加えて「太陽族映画」ブームに一石を投じた市川の大映時代の幕開けを飾った秀作。デビュー直後の川口浩が不敵な存在感で登場。睡眠薬で女子大生を眠らせる描写が物議をかもし、上映反対運動や、批評家・井沢淳と市川監督の論争にも発展した。

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日本橋

日本橋1956年/カラー/111分/スタンダード/大映東京
原作:泉鏡花 脚本:和田夏十 撮影:渡辺公夫
美術:柴田篤二 音楽:宅孝二
出演:淡島千景、山本富士子、若尾文子、品川隆二

◆淡島千景、山本富士子、若尾文子ら当代随一の美人女優が艶やかな芸者に扮し、しのぎを削る泉鏡花の新派劇の映画化。エキセントリックな男女の情念の世界を初の極彩色で描く。市川の創意と大映の技術力が結集。撮影所に本物の電車まで持ち込んで組まれた大セットでの撮影が様式美の極致を見せた傑作。

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満員電車

満員電車1957年/モノクロ/99分/スタンダード/大映東京
脚本:和田夏十、市川崑 撮影:村井博 美術:下河原友雄 音楽:宅孝二
出演:川口浩、笠智衆、杉村春子、小野道子、川崎敬三、船越英二、見明凡太朗、潮万太郎

◆競争を勝ち抜き社会人となった青年が直面する過酷な現実とは!?満員の通勤電車、殺風景な社員寮、無機質な工場…ライバルに負けじと意味のない労働に励む男をシュールな映像で描き、現代社会を痛烈に批判した野心作。

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東北の神武(ずんむ)たち

東北の神武(ずんむ)たち1957年/モノクロ/59分/35mm/シネスコ/東宝
原作:深沢七郎 脚本:久里子亭 撮影:山田一夫 美術:中古智 音楽:団伊玖磨 出演:芥川比呂志、伊豆肇、小高尊、左卜全、溝井哲夫、恩田清二郎、浜村純、藤原釜足

◆「楢山節考」で文壇に衝撃を与えた深沢七郎の第2作。東北の貧しい山村で嫁が取れない次男・三男の中でも相手にされない男が、伝え聞く山の彼方の娘ばかりの村へ旅立つという土俗的艶笑譚。深刻に構えず描き出した市川崑監督の知られざる傑作!!
♦フィルム提供:東京近代美術館フィルムセンター

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穴1957年/モノクロ/103分/スタンダード/大映東京
脚本:久里子亭 撮影:小林節雄 美術:下河原友雄 音楽:芥川也寸志
出演:京マチ子、船越英二、山村聰、菅原謙二、石原慎太郎

◆会社をクビにされた女性ルポライターが、懸賞金付きで自作自演の失踪を企画するも、銀行の預金横領事件に巻き込まれる。コメディタッチの謎解きや、ハイスピードなセリフ回し、京マチ子の七変化等、ユニークでポップな演出が楽しい。ミステリーファンの市川が、久里子亭(くり・してい=クリスティ)のペンネームを用いた最初の映画。

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炎上 ★デジタル復元版 【初デジタル化】

炎上1958年/モノクロ/99分/シネスコ/大映京都
原作:三島由紀夫 脚本:和田夏十、長谷部慶治
撮影:宮川一夫 美術:西岡善信 音楽:黛俊郎
出演:市川雷蔵、仲代達矢、中村鴈治郎、中村玉緒、新珠三千代

◆三島由紀夫「金閣寺」の映画化で、市川雷蔵・宮川一夫と初めて組んだ文芸作品の名作。吃音症の青年僧が国宝寺院に放火するに至るまで、相克する感情に揺れる様を入念に描く。ラストの幻想的な炎上シーンは映像美の極致。初の現代劇に挑んだ雷蔵は本作で数々の主演男優賞に輝く。

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あなたと私の合言葉 さようなら、今日は

あなたと私の合言葉 さようなら、今日は1959年/カラー/87分/シネスコ/大映東京
原作・脚本:久里子亭 脚本:舟橋和郎 撮影:小林節雄 美術:下河原友雄 音楽:塚原晢夫
出演:佐分利信、若尾文子、野添ひとみ、京マチ子

◆男やもめの父と奔放な妹に挟まれ、結婚の夢を捨ててきた主人公。この小津的な主題を、過剰なほど小津的スタイルを踏まえながら描きつつ、一人アメリカへ旅立つ彼女に個人主義の明暗を投影した佳作。『炎上』から一転、瀟洒な恋愛劇を展開する市川崑劇場が面白い !

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鍵1959年/カラー/107分/シネスコ/大映東京
原作:谷崎潤一郎 脚本:和田夏十、長谷部慶治、市川崑 撮影:宮川一夫 美術:下河原友雄
音楽:芥川也寸志
出演:京マチ子、中村鴈治郎、仲代達矢、叶順子、北林谷栄

◆谷崎潤一郎の問題作を、大胆に改変して映画化。古美術鑑定家と貞淑な妻、その娘と恋人の医師が織りなす異常な情欲を描いている。能面のような表情を湛えたキャスト陣が不気味さを放つ。カンヌ映画祭審査員特別賞。 

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野火

野火1959年/モノクロ/105分/シネスコ/大映東京
原作:大岡昇平 脚本:和田夏十 撮影:小林節雄
美術:柴田篤二 音楽;芥川也寸志
出演:船越英二、ミッキー・カーチス、滝沢修、浜口喜博

◆死屍累々のフィリピン戦線!魂を喪った人間の彷徨の先には…。大岡昇平の戦争文学を映画化。太平洋戦争末期のレイテ島で、極限の飢餓状態に置かれた兵隊を客観的に見つめ、その根源的な本質を抉り出す。主人公・船越英二は何日も絶食して役に挑み、撮影中に倒れたという逸話も。

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女経

女経1960年/カラー/100分/シネスコ/大映東京
【物を高く売りつける女】原作:村松梢風 脚本:八住利雄 撮影:小林節雄 美術:渡辺竹三郎
音楽:芥川也寸志
出演:山本富士子、船越英二、野添ひとみ、菅原謙二

◆3人の名監督に3人のスター女優を結びつけた大映の華やかなオムニバス企画。市川監督は第2話「物を高く売りつける女」を担当。三島をイメージした失踪作家と謎の女との駆け引きを、スタイリッシュでやや抽象的な空気のもとに演出している。他話は吉村公三郎、増村保造が演出。

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ぼんち

ぼんち1960年/カラー/105分/シネスコ/大映京都
原作:山崎豊子 脚本:和田夏十、市川崑
撮影:宮川一夫 美術:西岡善信 音楽:芥川也寸志
出演:市川雷蔵、若尾文子、中村玉緒、草笛光子、越路吹雪、山田五十鈴、船越英二、京マチ子、中村鴈治郎

◆山崎豊子の同名小説を軽妙且つ格調高く映画化。京マチ子、若尾文子、中村玉緒、越路吹雪などの超豪華女優陣を相手に、『炎上』に続いて起用された大スター市川雷蔵が唯一無二の存在感を発揮し、強烈な印象を残す。

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おとうと ★デジタル復元版  【初デジタル化】

おとうと1960年/カラー/98分/シネスコ/大映東京
原作:幸田文 脚本:水木洋子 撮影:宮川一夫
美術:下河原友雄 音楽:芥川也寸志
出演:岸恵子、川口浩、田中絹代、森雅之、岸田今日子、仲谷昇、江波杏子、穂高のり子、浜村純

◆キネマ旬報ベストテン第1位をはじめ映画賞を総なめにした、家族の再生とげん・碧郎姉弟の魂の交流を描いた日本映画史に燦然と輝く傑作中の傑作。「銀残し」と呼ばれる特殊な現像処理を施した淡彩映像は海外でも高く評価され、カンヌ映画祭高等技術委員会賞を受賞。

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黒い十人の女

黒い十人の女1961年/モノクロ/103分/大映京都
脚本:和田夏十 撮影:小林節雄 美術:下河原友雄 音楽:芥川也寸志
出演:山本富士子、岸惠子、宮城まり子、中村玉緒、船越英二

◆主人公・風は妻がありながら次々女性と関係を持つが、妻や愛人たちは一堂に会し、風の殺害を画策する…。リバイバル上映で若い世代の圧倒的な支持を得て大ヒットした、モダニストで先鋭的な監督の演出が光る大傑作!

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破戒

破戒1962年/モノクロ/119分/シネスコ/大映京都
原作:島崎藤村 脚本:和田夏十 撮影:宮川一夫
美術:西岡善信 音楽:芥川也寸志
出演:市川雷蔵、長門裕之、船越英二、藤村志保、三國連太郎

◆『炎上』『ぼんち』に続いて市川雷蔵とコンビを組み、島崎藤村の名作を映画化。部落出身であることを隠し生きる小学校教師を演じた雷蔵の熱演が光る。雪の情景を美しく捉えた宮川一夫のキャメラが冴えわたる。

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私は二歳

私は二歳1962年/カラー/88分/スタンダード/大映東京
原作:松田道雄 脚本:和田夏十 撮影:小林節雄
美術:千田隆 音楽:芥川也寸志
出演:船越英二、山本富士子、鈴木博雄、
中村メイコ(声)

◆松田道雄の育児書の映画化で、赤ちゃんの視点から大人が批評されるシニカルな異色作。団地に住む若い夫婦が子育てに右往左往する日常を、温かくユーモラスな眼差しで綴っている。キネマ旬報ベストテン第1位。

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雪之丞変化 ★デジタル復元版 【初デジタル化】

雪之丞変化1963年/カラー/114分/シネスコ/大映京都
原作:三上於菟吉 脚本:伊藤大輔、衣笠貞之助
シナリオ:和田夏十 撮影:小林節雄 美術:西岡善信
音楽:芥川也寸志、八木正生
出演:長谷川一夫、山本富士子、若尾文子、市川雷蔵、勝新太郎、船越英二

◆没後に俳優初の国民栄誉賞を受賞した大スター長谷川一夫の300本記念映画として製作された豪華絢爛な恋と復讐の物語。ジャズを使用した音楽や効果音など細部にまでオリジナリティに富み、その計算し尽された様式美は大映時代に培った技術の集大成とも評されている傑作!

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太平洋ひとりぼっち

太平洋ひとりぼっち1963年/カラー/97分/35mm/シネスコ/石原プロモーション+日活
原作:堀江謙一 脚本:和田夏十 撮影:山崎善弘
美術:松山崇 音楽:芥川也寸志、武満徹
出演:石原裕次郎、森雅之、田中絹代、ハナ肇、浅丘ルリ子

◆石原プロ第1作として、堀江謙一の体験記を映画化。家族に反対されながらも1人で小型ヨットに乗り太平洋横断を成し遂げる青年の冒険譚。ひたすら船旅の描写が続きながらも、その演出はスリルと独創性に満ちている。

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ど根性物語 銭の踊り

ど根性物語 銭の踊り1964年/カラー/90分/シネスコ/大映東京
脚本:久里子亭 撮影:宮川一夫 美術:渡辺竹三郎 音楽:ハナ肇
出演:勝新太郎、江利チエミ、船越英二、浜村純

◆恰幅が良くて腕っ節が強く、まがったことは大嫌いな町田八百。その腕を買われて殺し屋一味の仲間に引き入れられるが、一味のやり方に反発を感じて仕事を断り、逆に彼らに命を狙われるようになってしまう…。

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犬神家の一族

犬神家の一族1976年/カラー/146分/1:1.5ワイド/角川春樹事務所
原作:横溝正史 脚本:長田紀生、日高真也、市川崑 撮影:長谷川清 美術:阿久根巌 大野雄二
出演:石坂浩二、島田陽子、あおい輝彦、高峰三枝子、三条美紀、草笛光子、地井武男

◆角川映画第1回作品としてメガヒットを記録した、横溝正史原作の怪奇ミステリー。犬神製薬当主が残した不可解な遺言状を発端として次々と起こる殺人事件に、2枚目俳優の石坂浩二演じる名探偵・金田一耕助が挑む。

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悪魔の手毬唄

悪魔の手毬唄1977年/カラー/144分/35mm/1:1.5ワイド/東宝映画
原作:横溝正史 脚本:久里子亭 撮影:長谷川清
美術:村木忍 音楽:村井邦彦
出演:石坂浩二、岸惠子、若山富三郎、北公次、仁科明子、永島瑛子

◆旧友の警部から20年前の事件の調査で呼ばれた金田一耕助は、山奥深い鬼首村にやって来る。時を同じくして村では連続殺人事件が起こり始め…。解明される真相の哀切さから、シリーズ最高傑作との呼び声も高い。

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獄門島

獄門島1978年/カラー/141分/35mm/スタンダード/東宝映画
原作:横溝正史 脚本:久里子亭 撮影:長谷川清
美術:村木忍 音楽:田辺信一
出演:石坂浩二、大原麗子、草笛光子、司葉子、東野英治郎、ピーター、佐分利信

◆「金田一」シリーズ第3作の舞台は、流人や海賊の末裔が住むと言われ、本家と分家が憎み合っている瀬戸内海の獄門島。金田一はそこで起きた三姉妹の殺人事件に挑む。横溝の原作とは犯人を変えてしまった久里子亭(市川監督)の力技にも注目。

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細雪

細雪1983年/カラー/140分/35mm/ビスタ/東宝映画
原作:谷崎潤一郎 脚本:市川崑、日高真也 撮影:長谷川清 美術:村木忍 音楽:大川新之助、渡辺俊幸
出演:佐久間良子、岸惠子、吉永小百合、古手川祐子、石坂浩二、伊丹十三


◆東宝創立50周年記念作品として製作され、市川美学を随所に堪能できる後期の傑作。阿部豐、島耕二に次いで3人目となる谷崎の代表作を映画化。4姉妹の美しい所作もさることながら、女優陣が身に纏う衣装も見どころ。

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おはん

おはん1984年/カラー/112分/35mm/ビスタ/東宝映画
原作:宇野千代 脚本:日高真也、市川崑 撮影:五十畑幸勇 美術:村木忍 音楽:大川新之助、朝川朋之
出演:吉永小百合、大原麗子、石坂浩二、ミヤコ蝶々、桂小米朝

◆前作「細雪」で新たな女性像の表現に成功した吉永は、再び市川監督のもと、石坂とのコンビで「耐え忍ぶ女」に挑戦、映画女優として難しい年代にさしかかっていた彼女にとって、幸運な出会いと言える作品となった。男と二人の女性との葛藤をこまやかな演出で描写。

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竹取物語

竹取物語1987年/カラー/121分/35mm/ビスタ/東宝映画、フジテレビジョン
脚本:菊島隆三、石上三登志、日高真也、市川崑
撮影:小林節雄 美術:村木忍 音楽:谷川賢作
出演:沢口靖子、三船敏郎、若尾文子、石坂浩二、中井貴一、春風亭小朝

◆市川崑の映像美学が「竹取物語」の世界を見事に現代に蘇らせる・華麗な映像美で定評のある監督がSFXを駆使して古典的名作を書き出した、壮大なる”愛”のファンタジー傑作。沢口靖子の可憐な十二単衣装、スピルバーグの映画ばりの宇宙船、本格的な特撮シーンが話題になった。

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天河伝説殺人事件

天河伝説殺人事件1991年/カラー/109分/ビスタ/「天河伝説殺人事件」製作委員会
原作:内田康夫 脚本:久里子亭、日高真也、冠木新市 撮影:五十畑幸勇 美術:村木忍
音楽:宮川富実夫、谷川賢作
出演:榎木孝明、岸惠子、日下武史、財前直見

◆奈良県天川村を舞台に、能楽の跡目相続者争いをめぐる殺人事件を、日本古来により伝わる伝説をモチーフにして描いたサスペンス・ミステリーの傑作。映画と同名の主題歌も大きな話題となりヒットした。

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市川崑物語

市川崑物語2006年/カラー/95分/ビスタ/ロックウェルアイズ+オズ+角川ヘラルド映画
監督・脚本・編集・音楽:岩井俊二

◆岩井俊二監督による巨匠・市川崑の半生と、生涯の伴侶であり脚本家として名コンビを組んだ和田夏十の関係を独自の視点で描いた新しいスタイルのドキュメンタリー映画。

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