蘇ったフィルムたち 東京国立近代美術館フィルムセンター復元作品

サイレント映画から小津作品まで〜フィルム作品がデジタル技術で蘇る!
映画のデジタル化が進む中で、今後もフィルムでの上映環境を保ち続けるために立ち上がった「Fシネマ・プロジェクト」の一環として、東京国立近代美術館フィルムセンターとの共催で行われる映画上映会。紛失していたフィルムが発見され、近年デジタル復元が行われた「忠次旅日記」をはじめ、溝口健二監督が泉鏡花の小説「義血侠血」を映画化した「瀧の白糸」や、小津安二郎監督のサイレント時代の喜劇「和製喧嘩友達」、時代劇コメディの傑作「國士無双」など、フィルムの魅力を存分に堪能できる作品が盛りだくさん。また、短編アニメ集では、1918(大正7)年に製作された「浦島太郎」や日本アニメーションのパイオニアである政岡憲三が監督を務めた「くもとちゅうりっぷ」などを上映。鮮やかに蘇ったフィルムの魅力をご堪能ください。

この企画は、フィルムの上映環境を確保するための「Fシネマプロジェクト」の一環として、コミュニティシネマセンターの会員館を中心に全国で実施するものです。

上映作品

※無声映画はすべて24コマ映写となります。そのため、本来の速度とは異なります。予めご了承ください。

忠次旅日記 [デジタル復元・再染色版]

忠次旅日記 [デジタル復元・再染色版]1927年/日活大将軍/107分/35mm/染色・無声・不完全
監督:伊藤大輔 出演:大河内傳次郎、中村英雄、澤蘭子、伏見直江

◆赤城の山から逃げ延びた忠次は、越後の造り酒屋に番頭として身を隠すが、やがて正体が発覚し、追われる身に…。激情ほとばしる殺陣、秀逸なユーモア、緩急を心得た伊藤大輔の演出が冴え、逃亡の旅を続ける忠次のドラマはクライマックスを迎える。

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サイレント・アンソロジー (短篇4作・76分)

サイレント・アンソロジー (短篇4作・76分)『斬人斬馬剣』 [デジタル復元版]
1927年 /松竹下加茂/26分/35mm/白黒・無声
監督:伊藤大輔 出演:月形龍之介、天野刃一、伊藤みはる、関操

『和製喧嘩友達』 [デジタル復元版]
1929年/松竹蒲田/14分/35mm/白黒・無声
監督:小津安二郎 出演;渡辺篤、吉谷久雄、大国一郎、浪花友子

『長恨』 [デジタル復元版]
1926年 /日活大将軍/15分/35mm/染色・無声・部分
監督:伊藤大輔 出演;大河内傳次郎、久米譲、尾上卯多五郎、川上弥生

『國士無双』 [最長版・デジタル復元版]
1932年 /知恵プロ、日活/21分/35mm/白黒・無声
監督:伊丹万作 出演:片岡千恵蔵、高勢実乗、瀬川路三郎、山田五十鈴

◆乱闘シーンの激しいモンタージュが評判となった「斬人斬馬剣」、小津安二郎監督のサイレント時代の喜劇「和製喧嘩友達」、伊藤大輔監督と大河内傳次郎が初めてコンビを組んだ「長恨」、伊丹万作監督の時代劇コメディの傑作「國士無双」。

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瀧の白糸 [最長版・一部デジタル復元版]

瀧の白糸 [最長版・一部デジタル復元版]1933年/入江ぷろだくしょん/102分/35mm/白黒・無声
監督:溝口健二◎出演:入江たか子、岡田時彦、村田宏寿、菅井一郎

◆泉鏡花の小説「義血侠血」の映画化で、溝口健二のサイレント期の代表作のひとつ。水芸の太夫・瀧の白糸は、愛する青年が法律の道へ進むための学資を出し、献身的につくす。が、一途な白糸を皮肉な運命が待ち構えていた。

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短編集1[13作品・79分]

短編集1[13作品・79分]『東京行進曲』
服部小型映画研究所/1929年/35mm/白黒/3分

『黒ニャゴ』[デジタル復元版]
千代紙映画社/1929年/白黒/35mm/3分/作画:大藤信郎

『村祭』[デジタル復元版]
千代紙映画社/1930年/染色/35mm/3分/作画:大藤信郎

『國歌 君か代』
千代紙映画社/1931年/白黒/35mm/3分/作画:大藤信郎

『大きくなるよ』
Iida Pictures/1931年/白黒/35mm/3分/監督:飯田東吉

『茶目子の一日』[デジタル復元版]
1931年/白黒/35mm/7分/監督:西倉喜代治

『なまくら刀(塙凹内名刀之巻)』[デジタル復元版・再染色版]
小林商会/1917年/染色/35mm/無声/1分/作画:寺内純一 素材提供/松本夏樹氏

『浦島太郎』[デジタル復元版・再染色版]
日活向島/1918年/染色/35mm/無声/1分/作画:北山清太郎

『漫画 瘤取り』
横浜シネマ商会/1929年/染色/35mm/無声/10分/監督:青地忠三/作画:村田安司

『漫画 二つの世界』
横浜シネマ商会/1929年/染色/35mm/無声/11分/作画:村田安司

『くもとちゅうりっぷ』[デジタル復元版]
松竹動画研究部/1943年/白黒/35mm/15分/監督:政岡憲三

『KUJIRAくじら』[デジタル復元版・三色分解光学合成]
千代紙映画社/1953年/カラー/35mm/8分/監督:大藤信郎

『YUUREISEN[幽霊船]』 [デジタル復元版・三色分解光学合成]
千代紙映画社/1956年/カラー/35mm/11分/監督:大藤信郎

◆サイレントフィルムとSPレコードを同調させる「レコードトーキー」をトーキー版として復元した「黒ニャゴ」や「茶目子の一日」、近年発見された初期のアニメーション「なまくら刀」や「浦島太郎」、日本のアニメーションのパイオニアである政岡憲三の「くもとちゅうりっぷ」などを上映。

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短編集2[9作品・71分]

短編集2[9作品・71分]『紅葉狩』[デジタル復元版]
1899年/白黒/35mm/無声/4分/撮影:柴田常吉

『街』
1930年/白黒/35mm/無声/9分/監督:荻野茂二

『百年後の或る日』
1932年/白黒/35mm/無声/7分/監督:荻野茂二

『RIVER』
1933年/白黒/35mm/無声/4分/監督:荻野茂二

『PROPAGATE(開花)』
1935年/白黒/35mm/無声/3分/監督:荻野茂二

『AN EXPRESSION(表現)』
1935年/彩色(カラーフィルム上で復元)/35mm/無声/4分/監督:荻野茂二

『RHYTHM』
1935年/白黒/35mm/無声/1分/監督:荻野茂二

『水の幻想』
1981年/カラー/35mm /13分/監督:荻野茂二

『銀輪』[デジタル復元版・三色分解光学合成]
新理研映画/1956年/カラー/35mm/12分/監督:松本俊夫

◆国の重要文化財に指定された「紅葉狩」、個人映画作家のパイオニア・荻野茂二の作品、日本自転車工業会の海外向けPR作品でありながら、日本の実験映画史に残る傑作、松本俊夫監督の「銀輪」を上映。

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地獄門 [デジタル復元版]

地獄門 [デジタル復元版]1953年/大映京都/89分/カラー/スタンダード/35mm
監督:衣笠貞之助 出演:長谷川一夫、京マチ子、山形勲、千田是也

◆日本映画におけるカラー時代の到来を告げた作品のひとつ。カンヌ国際映画祭グランプリを受賞するなど、海外で高く評価された。平安時代、平治の乱で勲功のあった盛遠は、袈裟という美女に懸想するが、袈裟には夫があったことから悲劇が起きる。

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緑はるかに [コニカラー復元]

緑はるかに [コニカラー復元]1955年/日活/90分/カラー/スタンダード/35mm
監督:井上梅次 出演:浅丘ルリ子、高田稔、藤代鮎子、フランキー堺

◆浅丘ルリ子のデビュー作。ルリ子の父から科学研究の秘密を盗もうとするスパイ団と子どもたちの対決を描く。青・緑・赤の3本のネガを1台のカメラで撮影し、1本のポジフィルムに焼き付けるコニカラー・システムによる初の長編劇映画で、日活のカラー第1作である。

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幕末太陽傳 [デジタル復元版]

幕末太陽傳 [デジタル復元版]1957年/日活/110分/白黒/スタンダード/35mm
監督:川島雄三 出演:フランキー堺、左幸子、南田洋子、石原裕次郎


◆時は幕末、品川の遊郭で大判振るまいの佐平次は実は一文なしで、居残りとなって腰を落ち着けることに。もう一組の居残り組は高杉晋作をはじめとする勤王の志士たち。佐平次は彼らと仲良くなり、やがては廓の人気者になっていくが…。川島雄三監督の代表作ともいえる傑作時代劇コメディ。

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赤い陣羽織 [コニカラー復元]

赤い陣羽織 [コニカラー復元]1958年/歌舞伎座/94分/カラー/シネスコ/35mm
監督:山本薩夫 出演:中村勘三郎(17代目)、香川京子、伊藤雄之

◆甚兵衛とせんという夫婦が暮らす水車小屋に、せん目当てに通う赤い陣羽織のお代官・荒木源太左衛門。生来の臆病者で外では威張るが、内では奥方に頭が上らない。それでもなんとかせんをくどこうとするのだが…。木下順二の民話劇を映画化したもので、ユーモア溢れる傑作時代劇。

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幸福 [シルバー・カラー復元]

幸福 [シルバー・カラー復元]1981年/フォーライフ+東宝映画/105分/シルバー・カラー/ヴィスタ/35mm
監督:市川崑 出演:水谷豊、永島敏行、谷啓、中原理恵、市原悦子

◆原作はエド・マクベイン〈87分署シリーズ〉の「クレアが死んでいる」。妻に去られ男手ひとつで2人の子どもを育てる刑事と、恋人を殺された刑事が犯人を探す姿を通して、現代社会の歪みを浮かび上がらせる。市川崑監督は、このドラマをシルバー・カラーの抑えた色調で描いた。

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彼岸花 [デジタル復元版]

彼岸花 [デジタル復元版]1958年/松竹大船/118分/カラー/スタンダード/35mm
監督:小津安二郎 出演:佐分利信、田中絹代、有馬稲子、久我美子、山本富士子

◆自分に相談もせず、結婚相手を決めた娘(有馬稲子)のふるまいに動揺する父親(佐分利信)の姿を描く。娘の結婚を応援する山本富士子の助演も絶妙。初のカラー作品で、監督が好んだドイツのアグファカラーの落ち着いた発色は、以後“小津の色”として定着する。

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お早よう [デジタル復元版]

お早よう [デジタル復元版]1959年/松竹大船/94分/カラー/スタンダード/35mm
監督:小津安二郎 出演:佐田啓二、久我美子、笠智衆、三宅邦子


◆近所付き合いの小さな波風にふり回される大人たちと、テレビを買ってとねだり大人を困らせる子供たち。東京郊外の新興住宅地を舞台に、戦後の庶民生活を小津流に活写した作品で、軽さのある演出が際立っている。幼い兄弟のオナラのギャグが実に微笑ましい。

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秋刀魚の味 [デジタル復元版]

雲ながるる果てに1962年/松竹大船/112分/カラー/スタンダード/35mm
監督:小津安二郎 岩下志麻、笠智衆、佐田啓二、岡田茉莉子

◆小津の遺作で、男手一つで育てた娘を嫁に出す父(笠智衆)の気持ち、嫁に行く当の娘(岩下志麻)の心情を細やかに描き出す。仲のいい初老の紳士たち、うらぶれ老いた恩師とその娘、父の海軍時代の部下、戦後的な兄夫婦など、主筋以外の点描も余裕に満ちて見事。

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入場料金

当日券

一般1,400円/学生1,200円/シニア1,100円/会員1,000円/高以下800円
当日3回券3,300円(2館共通)

※連日朝より当日分の整理番号つき入場券の販売を開始します。
ご入場は各回10〜15分前より整理番号順となりますので、前売券なども受付にて入場券とお引き換えください。

スケジュール

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