コミュニティシネマフェスティバルVol.1
日韓映画館の旅

日本未公開の韓国映画が、韓国の映画館(ミニシアター)が、やってくる!
同時開催 関連企画:1950年代韓国映画傑作選

「コミュニティシネマフェスティバル」は、公共的な上映の場、コミュニティシネマとしてのミニシアターやシネマテークの魅力や重要性を広く伝えるための、全国各地のコミュニティシネマが共同で開催する”映画祭”です。
ミニシアターのような”アートハウス”と呼ばれる映画館は世界各国にありますが、韓国のアートハウス、「芸術映画館(アートシネマ)」と日本のミニシアター、コミュニティシネマは2019年以降、様々な形で交流してきました。記念すべき第1回コミュニティシネマフェスティバルは、“日韓映画館の旅”というテーマで、互いの国で公開されていない作品を軸に上映作品を選びました。
日韓交流60年という節目の年、日韓の上映者が共同で“映画館の旅”をお届けします!

日本未公開の韓国インディペンデント映画
韓国芸術映画館協会賞受賞作品

成績表のキム・ミンヨン ◆第1回(2023)受賞

2022年/韓国/96分
◎監督:イ・ジェウン、イム・ジソン

◆高校の寮で三行詩クラブを結成していたミンヨンとジョンヒ、スザンナ。高校卒業後、異なる道を選んだ三人の気持ちはすれ違う。ミンヨンにソウルの自宅に招かれたジョンヒは喜んでソウルに向かうが、ミンヨンは大学の成績表のことで頭がいっぱい。二人は「あの頃」に戻れるだろうか。
イ・ジェウン、イム・ソジン、ふたりの監督の初の長編作品。第22回全州国際映画祭、第23回ソウル国際女性映画祭の韓国映画部門でグランプリを受賞するなど、内外の映画祭で高い評価を得ている。

 

ロンリー・アイランド ◆第2回(2024)受賞

2023年/韓国/110分
◎監督:キム・ミヨン 

◆40代のユンチョル。かつては彫刻家を志していたが、現在は離婚して地方都市で内装施工業者として一人暮らしている。高校生の娘ジナは美術の才能を見せるが学校に馴染めず、突然出家を宣言して山の寺に入る。仕事も恋愛も、家族との関係も思い通りにはいかない。新しい人生を模索するユンチョルはジナの寺に向かう。
イム・ゴンテク監督作品の脚本、助監督などをつとめたキム・ミヨン監督作品。2021年釜山国際映画祭で初上映され、2023年には釜山映画評論家賞大賞、韓国女性映画協会最優秀監督賞など数々の賞を受賞、高い評価を受けた。

 

長孫-家族の季節 ◆第3回(2025)受賞

2024年/韓国/121分
◎監督:オ・ジョンミン 

◆夏、大邱の田舎で豆腐工場を営むキム家で法事が行われ、三代にわたる家族が集まる。祖父母はソウルで俳優の仕事をしている三代目の長男(長孫)ソンジンを溺愛している。秋、祖母が急逝。祖母の存在によって保たれてきた家族関係が変化し対立が露わになる。冬、祖母の法事で家族が集まった夜、秘されてきた家族の歴史が明かされる。
オ・ジョンミン監督長編第1作。第26回釜山国際映画祭で3つの賞を受賞したのを初め、韓国映画評論家協会賞、韓国映画製作者協会賞新人監督賞等々を受賞、海外の映画祭でも上映されている。

日本未公開の韓国インディペンデント映画
映画館を撮ったドキュメンタリー

 

ウォンジュ・アカデミー劇場の記録

2023年/韓国/101分
◎製作:ウォンジュ・アカデミー劇場の仲間たち

◆[市民キム・グィミン][アカデミーで出会ったもの][黄色いテント]からなるオムニバス映画。原州(ルビ:ウォンジュ)市にある1963年に開館した映画館「アカデミー劇場」。映画館としての営業を終えた後も建物は残され、2016年に保存活動が始まり、上映会や展覧会が開催されてきた。2021年には市がアカデミー劇場を購入、保存・再生することを決めた。しかし、2023年、ウォンジュ市は突如、この映画館を取り壊し、駐車場とすることを発表する。アカデミー劇場を守るために立ち上がった市民たちの活動の記録。

 

Mr.キム、映画館へ行く

2025年/韓国/104分
◎監督:キム・ドンホ

◆科学技術が席巻する近未来、日本では「自由死」という制度が導入され、自らの意思で死を選べるようになっていた。朔也の母もまた自由死を選び、急逝する。母の選択を受け止めきれない朔也は、仮想空間に母のVF(バーチャル・フィギュア)を再現する。しかし、そのVFは、次第に朔也も知らない母の姿を見せるようになっていく。

日本のインディペンデント映画

 

Underground

2024年/日本/83分
◎監督:小田香

◆ボスニア、メキシコの地下を撮ってきた小田香が、丹念なリサーチをもとに日本の地下にカメラを向け、新境地となった最新長編。本作は、東京、大阪、名古屋のミニシアターが「新作を上映したい作家」として小田を指名したことが契機となり制作がスタートした。東京、ベルリン以後、各地の映画祭で驚きをもって迎えられている。

 

1000年刻みの日時計 牧野村物語

1986年/日本/222分
◎監督:小川紳介

◆日本を代表するドキュメンタリストである小川紳介は、山形県の牧野村に移住し、稲を育て、暮らしを営みながら、映画制作を行った。科学映画や劇映画などの手法も駆使し、記録映画の枠を超えた異形の傑作。1987年、本作専用の劇場を京都に建設し、上映活動を行った若者たちが、その後関西のミニシアターの源流を作った。
シネ・ヌーヴォでは、広島市映像文化ライブラリーによって制作されたデジタルリマスター版を上映。
関連上映作品:鬼市場・千年シアター(1987年/18分)

関連企画:1950年代韓国映画傑作選

韓国の国立映画アーカイブである「韓国映像資料院」が創設50周年記念事業としてレストアした1950年代の韓国映画の傑作7作品を上映します。

 

洛東江

1952年/韓国/46分
◎監督:チョン・チャングン

◆韓国映像資料院が収蔵する朝鮮戦争期の映画。サウンド、映像とも完全な形で残された貴重な作品。慶南道庁広報課の支援を得て、釜山の「郷土文化研究会」「無名映画研究所」によって製作された。原作はイ・ウンサンの詩『洛東江』で、「伝統の洛東江」「勝利の洛東江」「希望の洛東江」の三章からなる。詩情あふれる映像と朝鮮戦争の記録映像を合わせたセミ・ドキュメンタリー。2024年、国家登録文化遺産に登録された。

 

ピアコル

1955年/韓国/109分
◎監督:イ・ガンチョン(李康天)

◆険しいピア谷(コル)を本拠地として戦っていたパルチザンの実態を徹底的に取材して脚本が書かれ、海抜2200mの高地で撮影された。政府と軍から支援を受けて製作されたが、パルチザンの苦悩を人間的に描いたことが問題視され、反共論争に巻き込まれた。1954年『アリラン』でデビューしたイ・ガンチョンの代表作。国家登録文化遺産であり、2016年にデジタル復元された。

 

未亡人

1955/韓国/76分
◎監督:パク・ナムオク(朴南玉)

◆韓国映画初の女性監督パク・ナムオクのデビュー作であり、唯一の作品である。朝鮮戦争で夫を亡くし、ひとりで娘を育てる未亡人イ・ミンジャを主人公に、女性の性的欲望と母性との葛藤を繊細に捉えている。夫が脚本を担当、姉の資金提供を得て、ナムオクは赤ん坊を抱えながら本作を撮った。最終巻が失われており、ラスト10分の音声が欠落している。

 

嫁入りの日 

1956年/韓国/80分
◎監督:イ・ビョンイル(李炳逸)

◆1934年に発表されたオ・ヨンジン(呉泳鎭)の戯曲「孟進士の慶事」の映画化作品。孟進士(進士は朝鮮次代の下級役人の役職)の一人娘カップンは、金判書(朝鮮次代の高級官吏)の息子ミオンと婚約したが、彼の足が不自由だという噂が流れ‥。韓国映画として初めて国際映画祭(第4回アジア映画祭)で受賞、韓国映画が国際的に評価される契機となった。

 

自由夫人

1956年/韓国/126分
◎監督:ハン・ヒョンモ(韓瀅模)

◆チョン・ビソクによる新聞連載小説「自由夫人」の映画化作品。商業的大成功をおさめ、朝鮮戦争後の韓国映画の興隆をリードした。大学教授の妻ソニョンは、洋品店で働き始めたのをきっかけにダンス、社交、恋へと積極的になり、家庭から離れていく。ハン・ヒョンモはメロドロマ、喜劇、ホームドラマと多彩なジャンルを手がけ、50年代韓国映画を代表する監督となる。

 

地獄花

1958年/韓国/88分
◎監督:シン・サンオク(申相玉)

◆50~60年代の韓国映画の巨匠・シン・サンオクの初期代表作。兄を探しにソウルに出てきた青年が、米軍物資の窃盗団を率いる親分になっていた兄と再会。米兵相手の娼婦らとも親しくなっていく。農村と米軍基地村、聖と穢れ、兄と弟等の対比を活かしながら、朝鮮戦争後の社会を描き出す。崔銀姫(チェ・ウニ)が悪女の娼婦を熱演し、圧倒的な存在感を示す。

 

お金

1958年/韓国/124分
◎監督:キム・ソドン(金蘇東)

◆孫基鉉の原作小説を、金蘇東が製作・脚本・監督を手掛けた。朝鮮戦争が休戦となり、純朴な農民ポンスの息子も故郷に戻ってきた。ポンスは子どもたちの結婚費用や借金の返済のため、高利貸から金を借りるが、詐欺師たちに金をだまし取られてしまう。貧しさゆえに破壊していく農民たちの姿を克明なリアリズムで描き出す。大女優チェ・ウニがポンスの娘-スニを演じている。

イベント

トークショー開催

11/15(土)

12:30『Mr.キム、映画館へ行く』上映後、キム・ドンホさんの舞台挨拶とQ&A

16:50『成績表のキム・ミンヨン』上映後、トーク
ジュヒさん(韓国「アートナイン」副代表)、イ・ジェウンさん、イム・ジソンさん(『成績表のキム・ミンヨン』)小田香さん(『Underground』)


入場料金

当日券

一般1600円、シニア1300円、学生・会員1200円、高校生以下・ハンディキャップ1000円
※回数券・招待券使用不可

 

※ご鑑賞の7日前から窓口とオンラインでチケットのご購入が可能です。ご鑑賞当日はオンライン予約の方は専用窓口で発券、当日券の方は窓口で指定席をお選びの上、開始時間の10〜15分前からご入場いただきます。
<全席指定席>となります。満席の際はご入場出来ませんので、ご了承下さい。
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